台湾・尖閣への中国侵攻に、米軍と自衛隊はどう備えるべきか
POSSIBLE WAR OVER TAIWAN
写真は自衛隊員と迎撃ミサイル「PAC3」(2017年撮影) Issei Kato-REUTERS
<中国の台湾攻撃があれば、巻き込まれるのは避けられない。日本は長距離ミサイル増強を検討する必要があるだろう>
中国は十数年前から攻撃的姿勢を強めている。その脅威に最も直接的な形でさらされているのが台湾だ。
米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官(当時)は3月に上院軍事委員会で、台湾侵攻の脅威は「今後6年以内」に到来する恐れがあると証言した。2週間後、後任のジョン・アキリーノ次期司令官は「この問題は大方の見方よりもずっと近づいている」と警告した。
4月にはクリストファー・ドッド元上院議員、リチャード・アーミテージ、ジェームズ・スタインバーグ両元国務副長官がジョー・バイデン大統領の要請で台北を訪れ、台湾を守る姿勢をアピールした。中国が武力を行使しようとすれば、ほぼ確実に対抗措置に出るだろう。
この現状を踏まえ、アメリカの専門家は対中戦争の可能性に備えるよう同盟国に求めている。
日米同盟の防衛計画では、日本がどのようにして抑止力を強化するか、必要に応じて長距離ミサイルを保有し、防衛能力を向上させるかを検討の俎上に載せる可能性がある。
中国が台湾に侵攻すれば、日米両国はいや応なく紛争に巻き込まれることになりかねない。習近平(シー・チンピン)国家主席はアメリカのサイバー・宇宙ネットワーク、在日米軍やグアム駐留米軍、自衛隊や日本国内の施設への攻撃を指示することも考えられる。
さらに日米の防衛計画担当者は、尖閣諸島への同時侵攻の可能性も考慮する必要があるかもしれない。この問題では日米の優先度に差があり、同盟に亀裂が入る恐れもある。
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「戦力投射能力」への打撃
米軍と自衛隊は中国軍の攻撃から自分たちを守るためにも、台湾と尖閣に侵攻する中国軍に効果的に反撃し、撃退しなければならない。そのためには、中国軍の総合的な作戦遂行能力に打撃を加える必要がある。
中国軍の攻撃で致命的な損害を受けないように、米軍と自衛隊は軍事基地や施設などの強化とともに防空・ミサイル防衛を一体的に向上させ、受動的・能動的防御を強化する必要があるだろう。
ただし、攻撃を防ぐだけで反撃しなければ、中国軍に圧倒されかねない。中国が台湾と尖閣で軍事作戦を展開するために必要な「戦力投射能力」に打撃を加え、侵攻自体を不可能にするアプローチを検討すべきかもしれない。