ミャンマー民主派弾圧を支える、ウクライナの武器輸出──人権団体報告書
「国軍記念日」の軍事パレードに参加した装甲車(3月27日) REUTERS
<ミャンマーへの武器輸出についてはロシアが批判を受けているが、ウクライナも同罪だと人権団体JFMは主張する>
今年2月に起きた軍事クーデター以来、ロシアによるミャンマー軍への多額の武器売却が盛んに報道されている。実際、ロシア政府はミャンマーの混乱を利用して利益を得ようとする意図をほとんど隠そうとしていない。
ロシアのアレクサンデル・フォミン国防次官は3月末、首都ネピドーでの軍事パレードに出席。クーデターに反対する市民約120人が射殺された日に、ミャンマーとの軍事関係強化を約束した。
だが人権団体「ジャスティス・フォー・ミャンマー(JFM)」によれば、ロシアの隣国ウクライナもミャンマーの国軍に武器や関連部品を供給している。
ウクライナの輸出記録やミャンマー当局のリーク文書をもとに作成されたJFMの新しい報告書は、国営企業を含むウクライナ企業が2015年以降、航空機、船舶、戦車の部品をミャンマーに多数送ってきたと指摘する。ウクライナ政府はミャンマーへの武器流入阻止を求める国連総会決議に賛成したが、一部の企業はクーデター後も取引を続けている。
最近では、航空機やミサイルのエンジン製造大手モトール・シーチ社が部品を2度出荷した。1回目は今年2月、最大都市ヤンゴンに拠点を置く空軍の納入業者に機械部品を送った。2回目は5月31日、ターボジェットエンジンの部品を軍調達本部に送っているが、同時期に空軍は「少数民族地域で無差別空爆を増やした」と報告書は指摘する。
ミャンマー国内に工場を設立
こうしたウクライナ企業の部品供給は、「ミャンマー軍の残虐な犯罪を支援するに等しい武器取引の最新事例にすぎない」と報告書は主張。実際、両国の取引は国民民主連盟政権下で始まっている。
18年、両国は軍事技術協力に関する協定を締結。「武器の研究開発、通常兵器の生産、武器および関連機器の供給、第三国での武器の共同販売・マーケティングを含む」7件の協力が盛り込まれた。ウクライナからミャンマーへの主な武器輸出は、航空監視レーダー、装甲兵員輸送車、航空機エンジン、軽戦車などだ。
JFMによれば、19年または20年にはミャンマー国内に工場を設立し、装甲兵員輸送車、軽戦車、自走榴弾砲を国内用および輸出用に生産する契約が締結された。