<最新研究>モノクローナル抗体で重症化率と死亡率が大幅に低下
Monoclonal Antibody Study Drives Seven-Fold Increase in COVID Treatment
モノクローナル抗体薬はトランプ前大統領に投与されたことでも話題になった Yara Nardi-REUTERS
米ピッツバーグ大学医療センター(UPMC)がホワイトハウスの新型コロナウイルス対策チームと協力して実施した研究で、新型コロナ感染症の患者に早い段階でモノクローナル抗体を投与することで、重症化率や死亡率を大幅に低下させることができるという結果が出た。この結果、UPMCの臨床試験でこの治療を受けられる患者は7.5倍に増えたと、UPMCの感染症専門薬剤師エリン・マクリーリーは9月8日のプレスリリースで発表した。
モノクローナル抗体は、通常の抗体と同じようにウイルスと結合することで効果を発揮するが、ウイルスの特定の部分(今回の場合は新型コロナウイルスのスパイクタンパク質)を認識して結合する。ウイルスを覆うこのスパイクタンパク質を標的にすることで、ウイルスがヒトの細胞に結合して侵入し、感染させるのを防ぐ仕組みだ。
「現時点での最善策」
研究では3月10日〜6月25日、UPMCの患者5000人超に対してモノクローナル抗体治療薬を投与。分析の結果、米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可を得ている製薬大手イーライリリーのモノクローナル抗体製剤――バムラニビマブ/エテセビマブ併用剤とカシリビマブ/イムデビマブ併用剤(いわゆる抗体カクテル)――が安全で、有効性もほぼ同等であるという結果が示された。
FDAの緊急使用許可が下りた当初は、モノクローナル抗体の投与を受けられる患者はごく一部に限られていたが、研究では投与対象を広げて、この治療における人種格差を埋めることができたという。
研究報告の共著者でUPMCの最高革新責任者であるデレク・アンガス博士は、「今は世界中がなんとか新型コロナウイルスを抑制しようと闘っている」と述べ、さらにこう続けた。「新型コロナ感染症にかかった場合、重症化や死亡を防ぐ上で、現時点での最善策がモノクローナル抗体の投与だ」