日本の自民党次期総裁候補を中国はどう見ているか?
つまり、森友学園問題に関して「さらなる説明が必要」とテレビで発言したことが安倍元総理の逆鱗に触れて、安倍氏は岸田氏を応援せず高市氏を応援する側に回ったのではないかということにより、岸田氏が「ビビッて」しまって、前言を翻したので、結局岸田氏も安倍氏の顔色を窺(うかが)いながらでないと動けない人間だということが日本人に知れ渡り、人気を落としてしまったという話まで中国側は細かく観察しているということだ。
河野太郎候補は根っからの「親中派」と中国では高く評価
順番があるらしく、いま現在原稿を書いている段階では、まだ環球網における河野太郎氏評価は出てないが、中国のネット検索で「河野太郎」という文字を入力しただけで「親華派」(親中派)という言葉が自然にリストアップされてきたのには驚いた。
例をいくつか挙げると、たとえば<人気が最も高い次期日本首相は"親華派"(親中派)、もし彼が首相になれば中日関係には転機が訪れるか?>とか、2019年の外務大臣時代のものだが<常に華春瑩とツーショットを撮る日本の外相、彼の親中ぶりは特徴がある>として、同じ「親中」でも父親の河野洋平とは少し違う点などを挙げたものなどもある。華春瑩は、言うまでもなく、中国外交部のベテラン女性報道官だ。
また2019年のものだが、<親中代表"河野太郎"、知恵に富み知略に長けていて、又もや新しい工芸品の流行を生みだした>と、明確に河野太郎を「親中代表」として絶賛する情報などもある。
これは河野氏が付けていた腕時計が「金時計」だという批判を日本で受けたときに、氏が「いや、これはASEANの50周年式典で記念品として配られた竹時計だ」と説明したことを指しており、河野人気の高い中国ではその説明さえ歓迎されて、一時期中国で「竹時計ブームが起きた」ことを指している。
ことほど左様に、河野氏は華春瑩とのツーショット自撮りで「親中派代表」として高い人気を博しているという次第だ。
以上、情報が多すぎて、ご紹介しきれないが、中国に「狂人」とまで言われて罵倒あるいは警戒される人物もいれば、「親中代表」として慕われている人物もいる。
日本という国家にとって、誰が重要なのかは、日本国民の選択にかかっている。
今回の選挙は自民党総裁選だが、次に来る衆院選において、自民公明がより多くの票を集めるのか、それとも野党連合がより多くの票を獲得するのかによって、自民党総裁が日本国首相になるか否かが決まってくる。
その意味では、自民党総裁選における候補者を、中国がどう見ているかを知るのは有益なことだろう。
なお本稿は、中国問題グローバル研究所のウェブサイトからの転載である。
[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社、3月22日出版)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら