最新記事

中国

日本の自民党次期総裁候補を中国はどう見ているか?

2021年9月9日(木)12時44分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

つまり、森友学園問題に関して「さらなる説明が必要」とテレビで発言したことが安倍元総理の逆鱗に触れて、安倍氏は岸田氏を応援せず高市氏を応援する側に回ったのではないかということにより、岸田氏が「ビビッて」しまって、前言を翻したので、結局岸田氏も安倍氏の顔色を窺(うかが)いながらでないと動けない人間だということが日本人に知れ渡り、人気を落としてしまったという話まで中国側は細かく観察しているということだ。

河野太郎候補は根っからの「親中派」と中国では高く評価

順番があるらしく、いま現在原稿を書いている段階では、まだ環球網における河野太郎氏評価は出てないが、中国のネット検索で「河野太郎」という文字を入力しただけで「親華派」(親中派)という言葉が自然にリストアップされてきたのには驚いた。

例をいくつか挙げると、たとえば<人気が最も高い次期日本首相は"親華派"(親中派)、もし彼が首相になれば中日関係には転機が訪れるか?>とか、2019年の外務大臣時代のものだが<常に華春瑩とツーショットを撮る日本の外相、彼の親中ぶりは特徴がある>として、同じ「親中」でも父親の河野洋平とは少し違う点などを挙げたものなどもある。華春瑩は、言うまでもなく、中国外交部のベテラン女性報道官だ。

また2019年のものだが、<親中代表"河野太郎"、知恵に富み知略に長けていて、又もや新しい工芸品の流行を生みだした>と、明確に河野太郎を「親中代表」として絶賛する情報などもある。

これは河野氏が付けていた腕時計が「金時計」だという批判を日本で受けたときに、氏が「いや、これはASEANの50周年式典で記念品として配られた竹時計だ」と説明したことを指しており、河野人気の高い中国ではその説明さえ歓迎されて、一時期中国で「竹時計ブームが起きた」ことを指している。

ことほど左様に、河野氏は華春瑩とのツーショット自撮りで「親中派代表」として高い人気を博しているという次第だ。

以上、情報が多すぎて、ご紹介しきれないが、中国に「狂人」とまで言われて罵倒あるいは警戒される人物もいれば、「親中代表」として慕われている人物もいる。

日本という国家にとって、誰が重要なのかは、日本国民の選択にかかっている。

今回の選挙は自民党総裁選だが、次に来る衆院選において、自民公明がより多くの票を集めるのか、それとも野党連合がより多くの票を獲得するのかによって、自民党総裁が日本国首相になるか否かが決まってくる。

その意味では、自民党総裁選における候補者を、中国がどう見ているかを知るのは有益なことだろう。

なお本稿は、中国問題グローバル研究所のウェブサイトからの転載である。

この筆者の記事一覧はこちら

51-Acj5FPaL.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社、3月22日出版)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、米関税による経済や物価影響を議論 3月理事

ビジネス

ステランティス、米工場で900人一時解雇へ 関税発

ビジネス

米貿易赤字、2月は6.1%縮小 前倒し購入で輸入は

ビジネス

米新規失業保険申請6000件減の21.9万件、労働
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中