最新記事

アフガニスタン

タリバンがブラックホークを操縦する異常事態、しかも誰かぶら下がっている!

Video of Taliban Member Hanging From Black Hawk Helicopter Viewed 2M Times

2021年9月1日(水)18時40分
ジャック・ダットン
米軍の軍用ヘリ、ブラックホーク

タリバンがブラックホークで攻撃してくる日がやってきた GabrielPevide-iStock.

<米軍の兵器を見せびらかすタリバンは、今やアフガン全土に見られる光景だ>

タリバンの一員と見られる人物が、米軍の軍用ヘリコプター「ブラックホーク」から吊り下げられて降下する様子を映した動画が拡散している。アフガニスタン南部の都市カンダハルを「パトロール中」のものだというこの映像は、再生回数が200万回を超えた。

この動画を8月29日にツイッターでシェアしたのは、アフガニスタン・イスラム首長国を自称するタリバンの公式ニュースアカウント「Talib Times」だ。映像では、アメリカ軍が残したUH-60ブラックホークと見られるヘリコプターから吊り下げられた男性の姿が確認できる。

動画には、「我々の空軍だ! これは、イスラム首長国の空軍ヘリコプターが、カンダハル上空を飛行しながらパトロールをしているところである」というキャプションが添えられている。

この動画は、内容について第三者の確認は取れていないが、複数のSNSユーザーによってシェアされている。

動画が投稿された8月29日は、アメリカ軍がアフガニスタンから完全撤退するとされていた日の前日だ。

戦争終結とともに

アメリカが先頭に立ってきた20年におよぶアフガニスタン戦争は、8月30日(米東部時間)に正式に終結した。アフガニスタンに滞在していたアメリカ人と、戦争中にアメリカに協力したアフガン人協力者を国外に退避させようとする混乱のなか、タリバン支配下にあるカブールの国際空港を、最後の米軍用機が飛び立った。

米大統領ジョー・バイデンは2021年4月に初めて、アフガニスタン駐留アメリカ軍を撤退させると発表した。その際に明言したのが、2021年9月11日までの完全撤退だ。国際テロ組織アルカイダがニューヨークのツインタワーを攻撃した2001年の米同時多発テロから、ちょうど20年目の日だ。

アメリカ軍が2001年にアフガニスタンに軍を派遣したのは、米同時多発テロの報復のためだった。その後アメリカ軍は、アルカイダと同盟関係にあったタリバンの排除に成功した。

だがアメリカ軍とその同盟国軍がアフガニスタンから引き上げるなか、タリバンはたちどころに全土を掌握し、首都も支配下に収めた。

タリバンは、アフガニスタンの実権を再び掌握した際に、アメリカ軍がアフガニスタン政府軍に提供した多数の武器や砲弾などを没収した。そのなかには、ブラックホークや全地形対応の軍用車両「ハンビー」も含まれている。SNSの写真や動画を見ると、8月半ばにはすでに、タリバン戦闘員が各地で武器などを見せびらかしている様子がわかる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ヘッジファンド、米株ポジション再び積み上げ 世界的

ビジネス

アングル:今週のFOMC、トランプ氏政策で一変した

ワールド

ドイツ財政拡張案、議員らが憲法裁に採決阻止求める

ビジネス

中国の1月スマホ出荷、iPhoneなど海外ブランド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自然の中を90分歩くだけで「うつ」が減少...おススメは朝、五感を刺激する「ウォーキング・セラピー」とは?
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 4
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 5
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    エジプト最古のピラミッド建設に「エレベーター」が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 9
    『シンシン/SING SING』ニューズウィーク日本版独占…
  • 10
    奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 3
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 8
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 9
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 10
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中