最新記事

クーデター

混乱のミャンマー スー・チー氏は21日にも一部容疑で判決か

2021年9月16日(木)21時45分
大塚智彦
内戦状態のミャンマー

「国家統一政府(NUG)」が「武装による一斉蜂起」を呼びかけたことでミャンマーは事実上の内戦状態になっている。 CNA / YouTube

<反国軍勢力が武装蜂起するなか、民主派のトップは政治的に抹殺されるのか?>

ミャンマー軍政に身柄を拘束されて、複数の罪状で訴追、公判が続いている民主政府の指導者だったアウン・サン・スー・チー氏に対し、一部の容疑で早ければ9月21日にも判決が言い渡されることが分かった。

これはスー・チー氏の弁護団が明らかにしたもので、全ての容疑で起訴事実を否認しているスー・チー氏だが、軍政の主導で進められている裁判だけに判決公判では最高刑に近い量刑での「有罪判決」は確実視されている。

スー・チー氏の公判は休暇期間を除いて基本的に毎週月曜日と火曜日に開かれてきたが、9月13日の公判はスー・チー氏の体調不良のため、急きょ休廷となった。

コロナ禍の最中だけにスー・チー氏の健康状態が懸念され、さまざまな憶測が飛ぶ事態となったが、その後コロナ感染検査で陰性と判明。スー・チー氏は翌14日の公判には出廷したことから「健康不安」という国民の懸念はとりあえず払拭された形となった。

扇動容疑での判決か

スー・チー氏の弁護団の一人であるミン・ミン・ゾー弁護士は、14日の約30分間の公判で裁判官からスー・チー氏を含む3人の「被告」に対する刑法505条違反に関する判決を21日も言い渡すと通告を受けたことを地元マスコミなどに明らかにした。

刑法505条は「軍人や政府職員の動機、規律、健康、行動を妨害し、損害を与え軍人と政府に対する憎悪、不服従または不誠実を引き起こそうとする試み」という実にあいまいな条文で、検察側や裁判所側による恣意的運用が極めて可能な「悪名高い」条文となっている。

スー・チー氏はコロナ感染防止規律違反や贈賄、通信法違反、輸出入法違反、さらに国民に社会不安を煽った扇動容疑など複数の容疑で訴追を受けており、今回の判決はこのうち「扇動」を問われた容疑に対する判決とみられている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国自動車ショー、開催権巡り政府スポンサー対立 出

ビジネス

午後3時のドルは149円後半へ小幅高、米相互関税警

ワールド

米プリンストン大への政府助成金停止、反ユダヤ主義調

ワールド

イスラエルがガザ軍事作戦を大幅に拡大、広範囲制圧へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中