レブロンの演技は一見の価値あり、『スペース・プレイヤーズ』は軽いが及第点
All Jammed Together
レブロン・ジェームズやバッグス・バニーが挑む「究極のeスポーツ・バトル」 WARNER BROS-SLATE
<夢の競演は超豪華なおもちゃ箱。NBAスターと人気キャラクターの強力タッグ『スペース・ジャム』第2弾>
ハリー・ポッター、ハーレイ・クイン、ヨギ・ベア、フレッド・フリントストーン、宇宙怪人ゴースト、マトリックス、スーパーマン、バットマン、キングコング、ピンクパンサー、殺人ピエロのペニーワイズ、夜の王(『ゲーム・オブ・スローンズ』)、メイドロボットのロジー(『宇宙家族ジェットソン』)......。
映画『スペース・プレイヤーズ』に登場するワーナー・ブラザースの歴代キャラクターは100を超えるが、その顔触れに法則性がないことは一目瞭然だ。
25年前に公開された『スペース・ジャム』は、マイケル・ジョーダン率いるNBAのスターがバッグス・バニーたちルーニー・テューンズ軍団とタッグを組んで、宇宙人と戦った。
2作目となる今回はレブロン・ジェームズと息子が、メディアコングロマリットの全ての知的所有物(つまりキャラクター)が存在するバーチャルワールド「ワーナー3000サーバーバース」に迷い込む。
彼らの前に立ちはだかる悪役は、ドン・チードル演じるアル・G・リズム。文字どおりワーナー・ブラザースのアルゴリズム(やり方)で、過小評価されてきた自分の功績を世間に認めてもらおうとしている。
しかし、手当たり次第に登場するアニメ帝国のキャラクターは、誰が選ばれて誰が選ばれなかったのか論理性がなく、アルゴリズムを感じない。
ジェームズのハリー・ポッター姿
アニメ作品は伝統的に、ある種の隠されたテクストが存在するものも少なくない。しかし本作は、ワーナー・ブラザースの豊かな歴史を見せつけるだけだ。
ジェームズがハリー・ポッターに扮してクィディッチのほうきにまたがり、スニッチを手に勝ち誇る姿も、J・K・ローリングが圧倒的な白人世界を描いたことに物申すわけではない。テーマパークで25ドルを払って撮影する記念写真のようなもの。
『時計じかけのオレンジ』のレイプ魔や夜の王が、スクービー・ドゥーやサンダーキャッツと肩を並べ、ジェームズたちの試合を応援する。
そんな寄せ集めのにぎやかしも、予告編で見るほどばかげてはいない。もっともその理由は、登場人物がデジタルなからくり人形というより、及第点のコスプレイヤーに見えるからなのだが。