「台湾代表処」設置のリトアニアに 中国が逆上、「頭がおかしくてちっぽけで危うい国」と罵倒
'Crazy, Tiny Country': China Media Lashes Out at Lithuania Over Taiwan
欧州で唯一、台湾の正式名称「中華民国」を冠した大使館を置くバチカン Remo Casilli-REUTERS
<とくに「台湾」の名を冠した稀有な出先機関を認めたことで中国は猛反発。リトアニアはEUとともに毅然とした態度を保っているが>
中国政府の意見を代弁する国際ニュース紙、環球時報の編集長は8月10日、バルト三国のひとつ、リトアニアを激しく攻撃する記事を掲載した。リトアニアの首都ビリニュスに台湾が出先機関を設置することを認めた上、撤回を求めた中国政府の要求を拒絶したからだ。
環球時報の胡錫進(フー・シーチン)編集長は、外交に大きな影響を及ぼす恐れがあるにも関わらず、リトアニアが決定を覆さなかったことに驚きを表明した。
胡は、中国最大のソーシャルメディア新浪微博(ウェイボー)でリトアニア政府を激しく攻撃し、環球時報のウェブサイトに掲載した社説でも攻撃を繰り返した。
リトアニアのことを「頭のおかしな小さな国で、地政学的な危険に満ちている」と評し、リトアニア政府がアメリカの側につき、中国と敵対していると非難。さらに「ヨーロッパの反中国派のなかでも、最も踏み込んだ行動に出た」と書いた。
そして「リトアニアのような小国が、大国との関係を悪化させる行動をとるとは、度し難いことだ」とも付け加えた。
この記事がウェブサイトに掲載される数時間前、中国外務省はビリニュスに駐在する中国大使を本国に呼び戻すこと、そしてリトアニア政府に対しても駐中国大使の帰国を要求することを発表した。
中国は断固として反対
台湾はアメリカをはじめ正式な外交関係のない国々において、出先機関を設置しているが、通常は国を意味しない「台北」という曖昧な名称をつけている。ところが今回リトアニアは、新たに設置する出先機関に「台湾」の名称を使う計画を認めた。
中国外務省は声明で、「中国政府は、この動きに対して断固として反対する」と述べた。
これに対し、リトアニア外務省は「EUや世界の他の多くの国々と同様に、台湾とは相互に有益な関係を追求する決意だ」と反論。ガブリエラス・ ランズベルギス外相はロイターに、政府は「次の動き」を検討していると語った。
「中国のメッセージは受け取った。だがこちらからもメッセージを送った。すなわち、リトアニアは独自の政策を続ける、ということだ。これはわが国の政策というだけでなく、他の多くのヨーロッパ諸国の政策でもあるからだ」と、彼は述べた。
台湾はヨーロッパに23の出先機関があるが、そのうちの1つ、バチカン(教皇聖座)に設置された機関だけが、台湾の正式名称である「中華民国」の大使館となっている。
環球時報の胡は、リトアニアは「最終的には国際ルールを破るという邪悪な行為の代償を払う」と述べたが、彼の見解はEUでは共有されていないようだ。