プロポーズは自分で掘り当てたダイヤを手に...鉱物マニアの挑戦
Don’t Stop Digging for Love
見つけるコツは「探すのをやめないこと」だと、リデンは言う(左はデジレ) CHRISTIAN LIDEN
<特別な婚約指輪を贈りたかった鉱物マニアが、2.2カラットの大物と最愛の彼女を射止めるまで>
子供の頃から、アイスランドなど遠い場所まで宝石を探しに行く男たちのドキュメンタリー番組が大好きだった。要するに僕は「鉱物マニア」で、化石を掘ったりもする。
中学・高校時代はあまり女の子と縁がなかったけれど、いつか結婚するなら、人と違ったやり方にしたかった。なんで婚約指輪を店で買わなきゃならない? 宝石を自分で見つけたっていいはずだ。
2016年、21歳の僕は地元ワシントン州でよく山歩きをしていた。食事をするのはいつも同じレストランだった。デジレがウエートレスとして働いていたからだ。
あるとき店で一緒に食事をしていた男友達に彼女と話したことがないと打ち明けると、この臆病者めと挑発された。だからレシートに電話番号を書いてデジレに渡したけれど、連絡はなかった。
でも半年後に店に行くと、デジレは僕を覚えていてくれた。レシートをなくしてしまったからもう一度教えてと言うので電話番号を教え、それからずっと僕らは一緒だ。
結婚の意思が固まったのは3年前のこと。ダイヤモンドを外国で採掘して指輪を作り、その指輪を手にプロポーズする作戦をひそかに温め始めた。
一般に公開されたダイヤモンド鉱山へ
けれども外国から原石を持ち込むのは困難で、作戦は棚上げに。そんな僕に同僚が、アーカンソー州のクレーター・オブ・ダイヤモンド州立公園を教えてくれた。世界で唯一、一般に公開されたダイヤモンド鉱山なのだという。
僕はリサーチを進め、デジレが仕事でいない間に採掘用のふるいを作った。今年5月に男だけで西部を回ると言って家を出た。友人と2人でアーカンソーの州立公園に行ってテントを張り、翌日は朝から地面の砂利を洗ってふるいにかけたが収穫はなかった。
2日目は穴を掘ったが大して深く掘れなかったから、3日目はまたせっせと地面の砂利をふるいにかけた。
光る物を探して一日中砂利に目を凝らした後、ふるいにあり得ない大きさの輝きを見つけたときの驚きといったら。それは一目でダイヤと分かった。見た瞬間、体が震えた。
公園でダイヤらしき石を発見したら、鑑定士が見てくれる。鑑定士は僕の石を15分くらい、ためつすがめつ眺めてから、顕微鏡を僕にものぞかせ、2.2カラットのイエロー・ダイヤモンドだと教えてくれた。
帰宅した翌日、僕はデジレをキノコ狩りに誘った。森を歩きながら、西部の旅は噓で本当は南部アーカンソー州で土を掘っていたと白状した。
そして地面に片膝をつき、2.2カラットのダイヤを差し出した。「僕が見つけたこの石で、君に指輪を作りたい。僕と結婚してくれますか?」と尋ねた。答えはイエスだった。