クラブ支配を盤石にしたUEFAだが、このままではいずれ破綻する運命だ
UEFA NEEDS REFORM
クラブ格差を固定する改革
だが実際には、FFPはクラブの間の競争を抑制している。イングランドの強豪マンチェスター・ユナイテッドの収益は、リーグ中堅クラブの3倍以上だ。欧州の他の国内リーグでは、さらに格差が大きい。FFPは「フェア」どころか、チーム力の格差を固定する方向に働いている。
スーパーリーグ構想をめぐる失態を受けて、英政府はプロサッカーの運営について調査を開始。独立した監督機関の設置を検討すると約束した。監督機関やクラブには、スーパーリーグ騒動を教訓にして意義ある改革を行うことが期待されている。
ファンや選手が望むのは、もっと意味のある試合だ。それを増やすには、大会の質を高め、拝金主義を改め、過密日程を緩和しなくてはならない。例えばUEFAは、CLのグループリーグ出場枠を現在の32チームから、2024-25シーズンには36チームに拡大すると発表している。
この改革によって、より多くのクラブに上位を狙うチャンスが生まれ、出場機会に恵まれなかった国のリーグにもチャンスが与えられる。試合数が増えて収益も増えるから、UEFAにとってはいいことずくめだ。しかしファンや選手が望んでいるのは、全体の試合数は抑えつつ、人気クラブ同士の試合や、意味のある試合を増やすことだ。
これらの目標を達成できる方法が2つある。1つはCLの決勝トーナメントに進むチームを決めるグループリーグの試合数を減らし、決勝トーナメントの試合数を増やす。UEFAが打ち出した方向性とは真逆だが、これで選手たちに過度な負担をかけることなく、より意味のある試合を増やすことができる。
もう1つは欧州5大リーグからより多くのチームがグループリーグに参加できるようにすること。サッカー小国のチームが競うチャンスをつぶさずに、強豪同士の対決を見たいというファンの願いをかなえることができる。
これらの改革は大会の質を向上させ、選手の健康を守り、クラブに利益をもたらすものになる。欧州サッカーの未来を担う組織にこの課題がこなせないなら、立場が危うくなってもおかしくない。
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