トランプの後継者は誰か...有力候補は2人だが、本命はトランプ自身?
GOP Governors Gear Up
トランプと共にメキシコ国境を視察するアボット(6月30日) BRANDON BELL/GETTY IMAGES
<次期大統領選へ早くも始動。しかし、共和党指名争いの行方は前大統領次第>
6月16日、テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は、州が独自で一般から寄付を集め、メキシコ国境に壁を建設すると発表。頭金2億5000万ドルを州予算から出すという。移民問題に弱腰とされるバイデン政権を批判する意図が見え見えだった。
2024年の大統領選にドナルド・トランプ前大統領が出馬するかが不透明ななか、アボットが大統領選に野心を抱いている証拠と受け取った共和党員や政治評論家も多い。
州知事再選を目指すアボット陣営は、大統領選の予備選序盤も視野に入れて選挙体制を強化。党の指名候補争いの初戦が行われるアイオワ州の共和党選挙参謀に相談しているのもそのためらしい。
トランプ政権の広報責任者の1人で16年の大統領選ではトランプ陣営でリサーチを取り仕切ったアンドルー・ヘミングも、テキサス州に転居して知事再選戦略の顧問に。「明らかに大統領選出馬の準備」だと16年大統領選でトランプの選挙参謀を務めたブライアン・ランザはみている。
アボットは郵便投票などを制限する法案の成立も目指して繰り返し特別議会を招集。審議ボイコットで抵抗する民主党議員と攻防を続けている。
民主党が危険視するフロリダ州知事
自身とトランプの優先課題を断行しようとする姿勢は、世界有数の経済規模を誇るテキサス州の知事が党内で桁外れの影響力を持つことを共和党員に改めて痛感させている。
だが次期大統領選の共和党候補にフロリダ州のロン・デサンティス知事を有力視する向きも多い。デサンティスはリベラル派と保守派の対立に喜々として参戦、デモの取り締まりを強化する「反暴動」法案にも署名した。
6月22日には公立大学を対象に、思想や観点の多様性および教職員や学生の「表現の自由度」について毎年調査を義務付ける法案に署名。投票を制限する州法も成立させるなど、このままでは全米での知名度アップにつながりかねないと民主党は危惧する。
「24年の大統領選でデサンティスの共和党指名獲得を阻むのはトランプのみだ」とフロリダ州の民主党活動家フェルナン・アマンディは指摘。ただし「フロリダ州知事選で敗退すれば指名争いからも脱落しかねない。再選されれば最有力候補として一気に弾みがつく可能性がある」と言う。