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地域人材の「助教諭」登用で開かれた学校運営を

2021年7月21日(水)13時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

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最高は埼玉の50.4%で、小学校教員の半分が助教諭だったことになる。隣接の東京の9.8%とは大違いだ。

群馬と茨城が40%台で、岩手や北海道など30%台の県は12ある。これらの県では、勉強ができる人を捕まえては臨時免許状を付与して教壇に立たせていたのだろう。その中には、20歳に満たない少年もいた。当時の小学校教員の年齢ピラミッドを見ると、10代が全体の1割を占めている。

にわかに信じがたいが、事実としてこういう時代もあった。現在、地域に開かれた学校運営が目指されているが、昔のほうが開放性は高かったと言えるかもしれない。教員不足という外的な要因とはいえ、地域人材が教壇に立っていたのだから。

教員不足は今も同じで、これを逆手にとって、地域人材をどんどん学校に呼び込んでもいいのではないか。教員免許がなくても、学があったり一芸に秀でたりしている人には、特別免許状や臨時免許状を付与して教壇に立たせることができる。教員の多忙化の解消にもなるだろう。

歴史を振り返れば、全教員の4人に1人、地域によっては半分が急ごしらえの助教諭という時代もあった。まんざら突飛な提案でないことは歴史が証明している。

<資料:文科省『学校基本調査』

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