ロサンゼルスがマスク再義務化、「ワクチンは効いている」が問題は...
6月15日にはハリウッド大通りでもマスク着用義務が解除されたが MARIO TAMA/GETTY IMAGES
<ワクチンは感染拡大防止に極めて有効という意見は変わらないが、それでも感染者数が増加して対策が必要になった理由>
ロサンゼルス郡当局は7月15日、ワクチン接種の有無にかかわらず7月17日から屋内でのマスク着用を義務付けると発表した。同郡の新型コロナウイルス感染者数は3月以来最悪。その多くがデルタ株の感染者だ(郡当局によると、6月27日~7月3日に確認された感染者の71%に上る)。
問題はワクチン接種の進捗状況だ。郡公衆衛生局の発表にはこうある。「ワクチンを2回接種した人は、デルタ株感染による重症化から十分に保護されることが新たなデータから確認されているが、1回しか接種していない人は保護が十分ではない。2回接種済みの人が感染したり他人にうつすケースはごく少数であることを示す証拠もある」
公衆衛生局は免疫力が低下している人や、ワクチン接種で十分な抗体ができにくい人、まだワクチンを接種できない子供たちを守るために行動している。感染者数の増加に伴い、さらなる対策が必要になったというのが、現時点での当局の結論だ。
マスクが再び義務化されたのは、ワクチンの効果が想定より弱いからではない。ワクチンは依然としてウイルスの感染拡大防止に極めて有効だ。まれに感染するケースもあるが、多くは無症状で重症化することはほとんどない。
接種証明は政治的にも技術的にも困難
つまり今回のマスク義務化は、今春に米疾病対策センター(CDC)が発表した「ワクチンを接種していれば、屋内でもマスクの着用や社会的距離の確保は必要ない」という指針を覆すものではない。
現時点で最も厄介な問題は、ワクチンを打った人と打っていない人が同じ空間に混在していることだ。理屈の上では、ワクチン接種の有無を確認して未接種の人にはマスクをしてもらえばいい。しかし、ワクチン接種を証明するワクチンパスポートは政治的に問題があるだけでなく、技術的にも導入が困難だ。
多くの店舗やレストランは既にワクチン未接種の来店客にマスク着用を呼び掛けているが、要請が守られているかどうかを確かめるのは難しい。着用の強制はさらに困難だ。