習近平最大の痛手は中欧投資協定の凍結──欧州議会は北京冬季五輪ボイコットを決議
建党百周年式典における習近平中共中央総書記(7月1日) Carlos Garcia Rawlins-REUTERS
バイデンが主導しようとしている対中包囲網は見せかけが多く軟弱だが、欧州議会がウイグル人権弾圧問題で中国の報復制裁に対して決議した「中欧投資協定の凍結」ほど、習近平にとって手痛いものはない。欧州議会は北京冬季五輪ボイコットをさえ呼びかけている。
EUがウイグル問題に関して制裁
今年3月22日、EU(欧州連合)主要機関の一つである「欧州議会」は、中国のウイグル人権弾圧に対して制裁を科すことを議決した。制裁対象となったのは以下の4人と一つの機構である。
●王君正(新疆ウイグル自治区・副書記、新疆生産建設兵団書記)
●陳明国(新疆公安庁庁長)
●王明山(新疆党委員会常務委員、政法委員会書記)
●朱海侖(新疆党委員会前副書記兼政法委員会書記)
●新疆生産建設兵団公安局
(いずれも制裁内容は「ビザ発給禁止および海外資産凍結&取引禁止」)
ここには悪名高き新疆ウイグル自治区の陳全国・書記の名前がない。
その意味で、どちらかと言うと、軽い制裁だった。
EUの制裁に対する中国の報復制裁
ところが同日、中国政府は「虚偽と偽情報に基づくもの」としてEUに強く反発し、非常に激しい「報復制裁」を発動した。制裁対象は10人(欧州議会5人、加盟国議会議員3人、学者2人)と4つの機構で、以下のようになっている。
●欧州議会議員5人
・ラインハルト・ビュティコファー「対中関係代表団」団長(議長)(ドイツ)
・マイケル・ガーラー「台湾友好グループ」議長(ドイツ)
・ラファエル・グルックスマン「民主的プロセスにおける外国の干渉に関する特別議会委員会」 委員長(フランス)
・イルハン・キュチュユク「外交委員会」委員(ブルガリア)
・ミリアム・レックスマン「外交委員会」委員(スロバキア)
●加盟国議会の議員3人:
・オランダ議会のヨエル・ウィーマー・シャエルズマ
・ベルギー連邦議会のサミュエル・コゴラティ
・リトアニア共和国議会のドヴィル・サカリアン
●学者2人
・ドイツ人学者Adrian Zenz
・スウェーデン人学者Björn Jerdén
●4つの機構:
・EU理事会の政治・安全保障委員会
・欧州議会の人権小委員会
・ドイツのメルカトル中国研究センター
・デンマークの民主主義財団連合
(制裁内容:制裁対象の関係者とその家族は、中国本土、香港、マカオへの入国と、中国領土内での商取引を全面的に禁止する。)