ついに動き出した韓国大統領選、支持率下落の親・文在寅派は苦戦必至
動向が注目される支持率トップの尹 YONHAP NEWS/AFLO
<与党内では反文派がリードしているが、現時点での最有力候補は文在寅と対立して検事総長を辞任した無所属候補>
「ポスト文」の韓国政治の行方は――。
来年3月に予定される韓国大統領選に向けて、既に数人の候補者が公式に名乗りを上げている。さらに最大野党の保守政党が体制を大刷新し、今後の展開が見えてきた。
大統領選出馬の意向を語る声は政界のあちこちから数多く上がるが、公式に立候補の意思を表明した有力な候補者は、現時点で少なくとも3人。まずは、与党「共に民主党」から手を挙げた李洛淵(イ・ナギョン)元首相と李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事だ。
李洛淵は知事や国会議員、党代表などを歴任してきたキャリアを持つベテラン政治家だ。その経歴から、1期限りの任期満了を迎える文在寅(ムン・ジェイン)大統領の後継候補と目されている。対する李在明は、2017年の前回大統領選に向けた党内選挙で文と争った人物で、文の派閥に属さないアウトサイダーに位置付けられる。
当初は李洛淵がリードしていたが、有権者の政権離れが本格化するなか、今や李在明の支持率が上昇している。韓国の調査機関リアルメーターが最近行った世論調査では、回答者の22.8%が李在明を支持する一方、李洛淵の支持率は8.4%にとどまった。
大幅な若返りを図る最大野党
だが、与党の有力候補者である2人の李のどちらも抑えて、現在最も支持されているのは尹錫悦(ユ ン・ソクヨル)前検事総長だ。
公式には無所属の身とはいえ、尹は野党陣営の旗手を自任している。検察改革に抵抗し、文政権と激しく対立した尹は今年3月に検事総長を辞任。その姿勢によって、保守派や政権交代を求める人々の支持を集めている。
野党側には少なくとももう1人、候補になりそうな人物がいる。韓国監査院の崔在亨(チェ・ジェヒョン)前院長だ。崔は政界への関心を表明し、これまでのところ大統領選への意欲は公言していないものの、野党からの出馬が噂されている。
崔もまた、文政権との対立の末に6月28日に辞意を表明した。大統領選立候補を決めた場合、尹と同様の立ち位置になるだろう。
こうしたなか、最大野党の「国民の力」は党内改革を推し進めている。6月11日に開かれた党大会では、新たな代表に、議員経験のない36歳の李俊錫(イ・ジュンソク)を選出。その後、27歳の若手2人を公開オーディションで広報担当に迎えた。