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バイデンの真価が問われる5つの課題、最大の敵は中国ではない

BATTLE FOR THE SOUL OF THE NATION

2021年7月21日(水)17時52分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)

バイデン政権は既に、ほかのG7(主要7カ国)諸国に、テクノロジーや知的財産権盗用に関して中国に厳しい姿勢で臨むよう働き掛けている。今後は、重要技術分野で中国の経済的・地政学的野心に対抗するために、アメリカの基礎研究や先端研究への資金拠出を行う「エンドレス・フロンティア法案」の採択を議会に強く求めていくだろう。

バイデン政権は、ロシアに対しても対中政策と同様の姿勢で臨むと予想できる。

以上に挙げたような政策は、いずれも米国民の大多数から支持されている。

しかし、野党の共和党は、国民の多数ではなく、2つの社会階層の利害を代弁する政党になっている。今日の共和党が代表しているのは、多様性が高まる社会に不満を抱く白人層と、政府による規制があまり行われない小さな政府を好む富裕層だ。

しかも、共和党に今も絶大な影響力を持つ前大統領のトランプは、バイデンと民主党に対して激しい復讐心を抱いている。

共和党は現政権が打ち出す政策にことごとく反対し、その多くをつぶしていくだろう。結局、共和党との不毛な交渉に業を煮やしたバイデンは、議会の賛同を必要としない大統領令によって、一部の政策を実現しようとする可能性が高い。

これが、バイデンが挑む「アメリカの理念をめぐる戦い」の実像だ。

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