風邪をひいているとコロナを予防できる可能性がある 米イェール大研究
一方、コロナへの曝露時にすでにライノウイルスに感染していた場合、すでに体内ではライノウイルスに抵抗すべく、豊富なインターフェロンとインターフェロン誘導遺伝子が用意されている。これが新たに侵入してきたコロナウイルスの複製にすばやく歯止めをかけ、増殖を抑え込むというしくみだ。
同様の関係は、風邪とインフルエンザについても成立することがわかってきている。フォックスマン博士の研究室では昨年行った実験により、風邪ウイルスがインフルエンザへの感染を予防する可能性があることを突き止めていた。その知見を生かし、新型コロナウイルスとの関係が明らかになった。
なお、注意点として、インターフェロンの持続期間は1〜2週間ほどとなっている。そのため、一度風邪をひけばコロナにかからないというわけではない。
昨年からの学説に決着
風邪がコロナに対して予防効果を発揮するのではないかという見解は昨年から出ていたものの、その真偽や詳細なメカニズムなどは未検証のままだった。英スカイニュースは昨年10月、フォックスマン博士たちが今回の実験前に発表した仮説を報じている。以降、半年以上にわたって決着を見なかったコロナと風邪の関係性が、本研究をもって立証された形となる。
博士は今回、イェール大学が発表したプレスリリースのなかで、「ウイルス同士のあいだには、私たちの理解が及ばない知られざる相互作用があります。今回の発見は、新たに私たちの目に明らかとなったパズルの一片なのです」と語り、ウイルスの世界にはまだまだ科学が追いついていない複雑な関係性があるとの見解を示している。
本研究では、例年人々を悩ませている一般的な風邪が、新型コロナウイルスに対する免疫機能を高めている可能性が示唆された。決して積極的に風邪をひくことが推奨されているわけではないものの、私たちの体内でまさに「毒を以って毒を制す」というべき興味深い現象が起きているようだ。