アメリカの孤立化ではっきりした、「頼れる大国はアメリカだけ」という事実
AMERICA REMAINS INDISPENSABLE
まず、2国家共存がもはや現実的に見えなくとも、それを放棄すれば激しい衝突を招くということ。2つ目に、パレスチナ人とイスラエル国内のアラブ系住民は、和平交渉から締め出される状況に黙ってはいないということ。
3つ目に、イスラエルの占領は永久には続かないということ。そして4つ目に、少なくとも世界の大国の役割を保ちたいのならば、アメリカは興味を失ったからといってこの地域を簡単に見捨てることなどできないということだ。
1990年代の旧ユーゴスラビアと同じく現在の中東地域でも、和平を実現できる、あるいは少なくとも全面的な戦争を止められる立場にいる大国はアメリカだけだ。ロシアもかつてはその役割を狙ったが、果たせなかった。
中国は、中東でのアメリカの立場を引き受ける気もなければその力もない。ヨーロッパはもはや戦力として期待できず、影響力拡大を狙うトルコにしても力不足。イランやサウジアラビアはあくまでアラブ世界での覇権を目指すばかりで、イスラエルの関心はもっぱら自国防衛だ。
となると、やはり残るのはアメリカだけ。政治的にも技術、経済、軍事的にも中東に影響力を及ぼせる国はアメリカをおいてほかにない。国際秩序にとって最悪なのは、アメリカが孤立の道を進むことだ。トランプ時代が既にその危険性を証明したが。