最新記事

野生動物

アジアゾウの群れが大都市の目前に、警察など400人が警戒

Chinese City Taps Over 400 Emergency Responders to be on Alert as Elephant Herd Approaches

2021年6月9日(水)19時07分
ジュリア・マーニン
休むアジアゾウの群れ(ドローン撮影)

長旅に疲れ身を寄せ合って眠るゾウの群れをドローンが捉え、閲覧回数は2億回に達した(昆明、6月7日) China Daily/REUTERS

<中国雲南省で北上を続ける野生のアジアゾウ15頭が人口700万の大都市昆明に到達。ゾウを保護しながら人口密集地への侵入を防ぐ作戦とは?>

中国南西部・雲南省の省都昆明に、15頭のアジアゾウの群れが近づいている。「北上するアジアゾウの群れ」として、世界中のテレビで放送されている。現地でゾウの動きを監視する地域指令センターは、市当局が6月7日、緊急対応要員と警察関係者400人以上を警戒のために動員したと発表した。

この野生のゾウの群れは、1年以上前に雲南省南部の自然保護区を離れて旅を続けており、8日には昆明市郊外で目撃されたとAP通信は伝えた。周辺の住民は7日までに避難し、一帯には交通管制が敷かれ、何台もの車両と14機のドローンがゾウの監視にあたっている。

2トン分の食料も用意された。政府は。ゾウが近づいた場合は建物内に留まり、ゾウを見に行ったり大きな音で怖がらせたりしないよう市民に指示している。このような対策が取られるのは、中国ではゾウの保護が最優先されているからだ。

以下はAP通信によるリポートだ。

ゾウの話題がトレンド入り

謎の旅を続けるゾウは中国国内だけでなく、国際的なスターになろうとしている。

主な国際メディアは、1年以上前に中国南西部の雲南省の山岳地帯にある野生動物保護区を出発してから昆明の郊外に達するまで500キロのゾウの旅を詳細に報じている。

ツイッターとユーチューブには、ゾウの面白動画、特に灌漑用の側溝にすべり落ち、群れの大人のゾウに助けられる2頭の子ゾウの映像が山ほど投稿されている。

ユーチューブの動画には「私たちはこのゾウのようになるべきだ、もっと家族を大事にし、家族で休暇を取り、助け合い、互いに世話をし、守り合うべきだ」というコメントが寄せられた。

旅するゾウは中国のミニブログサイト新浪微博(シンラン ウェイボー)で、何日もトレンド入りを続けている。7日夜の時点で、家族が身を寄せ合うようにして休むゾウの群れの画像が2万5000点投稿され、閲覧回数は2億回に達した。

夜の街を速足で駆け抜けるゾウの群れの姿を防犯カメラがとらえ、十数機のドローンが上空から撮影している。当局は被害を最小限に抑え、ゾウと人間が共に安全な状態を維持できるように群れを監視している。

ゾウの群れは食べ物と水を求めて畑を荒らし、自動車販売店にも入り込んだ。老人ホームにも姿を現し、一部の部屋に鼻を突っ込んだため、高齢男性が急いでベッドの下に隠れたこともあった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中