最新記事

中東

【動画】ゲームにあらず、降り注ぐロケット弾を正確に捉えるイスラエルの迎撃ミサイル

Video Shows Rockets Being Intercepted by Missiles, Lighting Up Tel Aviv Sky

2021年5月12日(水)21時30分
エマ・メイヤー
ガザ地区から飛来したロケット弾を迎撃するイスラエルのアイアンドーム・ミサイル

ガザ地区から飛来したロケット弾を迎撃するイスラエルのアイアンドーム・ミサイル Amir Cohen-REUTERS

<イスラエル軍の空爆に対し、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスは数百発のロケット弾で報復。近年では最悪の暴力の応酬が始まった>

イスラエル中部に住むルイス・フィッシュマンが、現地時間5月11日夜にツイッターに投稿した動画には、夜空に閃光がまたたき、煙が上がる様子が捉えられている。一目見ただけでは、夜空を多くの流れ星が横切っているようにも見えるが、背後に鳴り響くサイレンは、地上のただならぬ事態を反映している。実際にはこれらの閃光は、ガザ地区から放たれた数百発のロケット弾が、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」のミサイルに迎撃された際の光だ。

イスラエルと、パレスチナの武装勢力ハマスとの対立は10日、重大な局面を迎えた。この日、イスラエルがガザ地区に新たな空爆を行い、これに対しハマスは数百発のロケット弾で応戦した。報復の応酬が急速に拡大している。

11日夜になるとハマスはさらに、ガザ地区の高層ビルを破壊された報復として、130発のロケット弾を発射したと、AP通信は伝えている。ロケット弾が上空に打ち上げられる中、モスクからは、「神は偉大なり」「イスラムに勝利を」「抵抗を」とのスローガンを唱える声が繰り返し響いたという。

現実離れした光景

イスラエル最大の商業都市テルアビブ南の郊外では1発のロケット弾がバスに命中し、5歳の少女を含む3人が重傷を負った。他のロケット弾も複数が家屋に着弾し、民間人に多くの死傷者が出た。さらに別のロケット弾は3階建てのアパートを崩壊させ、これにより6人が負傷した。

イスラエル軍によると、イスラエルのミサイル迎撃用防空システムであるアイアンドームは、テルアビブの人口の多いエリアを狙ったロケット弾のうち90%の迎撃に成功した。この迎撃が、冒頭で紹介したツイッターに投稿された動画の「現実離れした」ようにも見えるシーンを作りだした。

10日以降、ガザ地区では10人の子供を含む30人以上が死亡、イスラエル側にも3人の死者が出た。

ハマスの軍事部門「エゼディン・アル・カッサム旅団」は、もしイスラエルがガザ地区の民間人が住む高層住宅を標的にし続けるならば、テルアビブに攻撃を仕掛けると計画した。

「敵がこれからも執拗に、民間人が住む高層住宅を爆撃するなら、テルアビブは(郊外の)アシュケロンが受けたよりさらに激しいミサイル攻撃の標的となるだろう」と、同旅団の報道官アブ・オベイダはツイートした。

一方のイスラエルも、地上部隊を投入する構えと、現地メディアは伝える。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中