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台湾危機を語るなら、まず論じるべきは半導体だ──イアン・ブレマー

2021年5月18日(火)17時31分
イアン・ブレマー(ユーラシアグループ代表)、アリ・ワイン(同シニアアナリスト)

中国にとって大掛かりな台湾上陸作戦は容易でない。人民解放軍は1979年以降、本格的な実戦経験がなく、台湾も猛烈な抵抗をするだろう。アメリカも中国への軍事行動に踏み切ると予想できる。

中国が台湾を攻撃した場合、軍事的損害や懲罰的経済制裁による経済的ダメージなど、中国が負うリスクは甚大だ。そのリスクは、新疆ウイグル自治区でのウイグル人などのイスラム系民族の強制収容や、香港での民主化運動の弾圧などのケースとは比較にならないくらい大きい。

それに、米中の武力衝突が起きれば、TSMCの操業にも深刻な支障が生じるだろう。この面では、中国のテクノロジー産業も打撃を被る。

地政学とテクノロジーの結び付きが強まることで、台湾は一層難しい綱渡りを余儀なくされ、米中の緊張はますます高まるだろう。

しかし、台湾が最も警戒すべきなのは、近い将来の軍事的危機ではない。軍事行動抜きで中国に事実上吸収されるという、中国の望むであろうシナリオをはね返すこと──それが台湾にとっての最重要課題だ。

©2021 The Diplomat

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