最新記事

ベラルーシ

ルカシェンコが今度は国内ニュースサイトの編集長を拘束

Belarus Editor Detained as Government Crackdown Intensifies Amid International Uproar

2021年5月31日(月)15時40分
ナタリー・コラロッシ
ベラルーシの独裁者ルカシェンコ大統領の肖像を掲げて弾圧に抗議する若者

ウクライナの首都キエフで、ベラルーシの独裁者ルカシェンコ大統領の肖像を掲げて弾圧に抗議する若者 Gleb Garanich-REUTERS

<民間航空機を強制着陸させて反体制派ジャーナリストを拘束したことで世界から非難を浴びるなか、ベラルーシのルカシェンコ政権はまたニュースサイトの編集長を「過激主義」の疑いで拘束した>

ルカシェンコ独裁政権による反政府活動家や独立系ジャーナリストの弾圧が激化しているベラルーシで、5月30日に著名なニュースサイトの編集長が「過激主義」の容疑で逮捕された。

AP通信によると、ベラルーシのニュースサイト「ホロドナ・ライフ(Hordna.life)」の編集長アリアクセイ・ショタが拘束されたのは、同サイトに「過激主義的であると十分に認められる情報」を記事として掲載した後のことだったと報じられている。

ホルドナ・ライフはベラルーシで5番目に大きな都市グロドノのニュースに焦点を当てたニュースサイト。ショタは以前、同国で最も人気のある大手独立系ニュースサイト「トゥト・バイ(Tut.by)」 と協力して仕事をしていた。トゥト・バイは、国中に広がったベラルーシの独裁的指導者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領に対する抗議行動の状況を報じたことで知られている。

5月初め、ベラルーシ当局 はトゥト・バイの事務所を捜索し、少なくとも15人の従業員を逮捕、同サイトを閉鎖したとAPは伝えている。

エスカレートする弾圧

30日、ホロドナ・ライフはショタの拘束に関する最新情報をインターネットに投稿した。ショタはその日の朝、アパートを出たところを、白いミニバスに乗った数人の男に拘束されたという。逮捕後、警察はショタの家を家宅捜索した。

「仕事中だったショタの母親は、息子がレニンスキー地区警察署にいると告げられた。どの記事のせいで逮捕されたかは、教えてもらえなかった。現在、ショタのアパートは警察に捜索されている」と、ウェブサイトでは報告されている。

30日の時点では、ショタが正式に過激主義で起訴されたかどうかは明らかではなかった。万一、過激主義で有罪になれば最長10年の懲役刑になる可能性もある。

ショタの逮捕の前から、ジャーナリストや政府を批判する者に対するベラルーシ政府の弾圧は激化する一方だった。5月23日にはベラルーシ空軍の戦闘機がギリシャからリトアニアに向かう民間航空のライアンエアの旅客機を強制着陸させ、反体制派ジャーナリストのロマン・プロタセビッチ(26)を拘束するという事件が起き、状況はさらに緊迫化していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノババックス、サノフィとコロナワクチンのライセンス

ビジネス

中国高級EVのジーカー、米上場初日は約35%急騰

ワールド

トランプ氏、ヘイリー氏を副大統領候補に検討との報道

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 7

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中