最新記事

新型コロナウイルス

バイデン政権が新型コロナ発生源究明へ再調査、武漢ウイルス研究所も対象

Senate Approves Amendment Blocking Funds to Wuhan Institute of Virology

2021年5月27日(木)18時59分
ジュリア・マーニン

政権スタッフは個人的な見解として、追加調査を行なっても真相は藪の中だろうが、この1件で中国の隠蔽体質をはっきりと世界に印象づけることはできた、と語った。

米国務省は今春、トランプ前政権が始めた流出説に関する調査を打ち切ったが、引き続き情報機関などと連携し、調査に協力するよう中国に働きかける方針を明らかにしている。

「中国が調査には全面的に協力していると言い張ることは遺憾であり、このパンデミックを収束させ、グローバルな健康安全保障を強化しようと国境を越えて協力している世界中の国々の努力に仇なす態度だ」と、国務省のネッド・プライス報道官は述べた。

ウイルスの発生源調査は極めて重要だと、カナダ・サスカチュワン大学のワクチン・感染症研究機関のウイルス学者、アリンジェイ・バナジーは言う。「どこから発生したかが分からなければ、再び広がるのを防ぎようがない」

新型コロナと100%同じウイルスはまだ見つかっていない

「このウイルスは野生動物由来と見るのが、今でも妥当な見方だ」と、バナジーは指摘する。自然界ではウイルスが動物からヒトへと飛び移る「スピルオーバー」現象は珍しくない。コウモリが保有するベータコロナウイルスはこれまでにもヒトに飛び移り、重症急性呼吸器症候群(SARS)、さらにはラクダを介して中東呼吸器症候群(MERS)を起こしてきた。新型コロナもその1種だ。

「これまでに得られた証拠から、新型コロナは野生動物由来と考えられる」と、バナジーは言う。

しかし、それは決定的な結論ではない、とも付け加える。「さまざまな可能性があり、断定はできない。新型コロナと100%同じ動物のウイルスはまだ特定されておらず、その他の可能性を探る余地はある」

新型コロナ対策でバイデンの上級顧問を務めるアンディ・スラビットは25日、「答えが何であれ」、世界は「真相を究明する」必要があると語った。

「中国は完全に情報を開示する必要があり、そのためにはWHOの後押しも必要だ」と、スラビットは述べた。「今はそれが得られていない」

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米大使館、取引先にDEI禁止順守を指示 スペインな

ワールド

トランプ米政権、ハーバード大への助成・契約90億ド

ワールド

アルゼンチン貧困率、24年下半期は38.1%に急低

ワールド

豪中銀、政策金利据え置き 米関税の影響懸念
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中