乳幼児の発育に「スマホ=害」ではない 有意義な活用法を知ろう
Advanced Screening
両親と遊び、おもちゃや本と触れ合い、砂場で過ごすことは赤ちゃんの脳の発達にとっては不可欠だ。しかし最近の複数の研究から、子供はビデオチャットを通して語彙や語学力を向上させられることが分かっている。
AAPも16年10月になって、時代にそぐわない厳格な指針を改め、新たなガイドラインを発表した。そこでは、2歳までの幼児は脳の発達や健全な親子関係のために、できるだけデジタルメディアの使用を避けるべきだとしているものの、利用する場合は「良質な番組を親子で見る」などし、「子供が何に関心があるのかを理解するのに役立てる」よう促している。
AAPメディア委員会のアリ・ブラウン委員長は「全てのテクノロジーは同じではないし、全てのメディアは同じではない」と語っている。「消費もあれば、創造も、コミュニケーションもある。2歳未満の子供にとって、YouTubeで延々とアニメを見続けるのと、祖母とビデオチャットするのとでは大きな差がある」
では、画面型メディアを見せるか見せないかを決めるときに、両親は何に気を付ければいいだろうか。目安となるのは、画面に現れたイメージが現実の物ではなく、記号であると子供が理解できるかどうかだと、トロセスは考えている。小さな子供が、画面の映像が現実とはどう違い、どう似ていて、どう現実を表しているのかを理解するのはかなり難しいことだ。
これが学齢期前くらいになれば、隣の部屋にいる両親と自分が接触できないのと同じように、画面の2次元映像と接触することはできないという基本的な考え方を学ぶようだ。
罪悪感を持つ必要はない
ただし、子供がこの能力を獲得する時期には個人差がある。
「分岐点となる『魔法の年齢』まで、子供を画面から完全に遠ざけておくことは間違っている」と、トロセスは言う。「絵本を読み聞かせるときと同じように、子供が画面上のことと現実世界の関係を理解しているかどうかを見守っていればいい。子供の側も、両親がビデオやタッチスクリーンのような情報源をどう使っているかを見ることで使い方を学んでいる」
それでも親たちにとって、スクリーンタイムは危険な坂道のようなものだと言える。激しい議論は続いているし、賛否両論あるテクノロジーについて正しい決断を下さなくてはという重荷は、大きなストレスになる。しかし、最も重要なのはパニックにならないことだ。
子供が親のスマホで遊んだり、遠くで流れているテレビを目にしたりすることについて母親や父親が罪悪感を覚えるのは、不必要な重荷でしかない。
子供と親が一緒に視聴したり遊んだりする、またはよく工夫されたアプリやビデオを子供が熱中して楽しんでいるのなら、きちんと管理されたスクリーンタイムは素晴らしい恩恵になる。親子が共に楽しみ、触れ合う良い機会になるからだ。
こうしたメディアの有意義な活用法を学ぶことは、親にも子供にも不可欠だ。どうすれば安全に自転車に乗れるか、どうすれば栄養のある食事を賢く取れるようになるかなどを学んでいくのと同じだろう。