乳幼児の発育に「スマホ=害」ではない 有意義な活用法を知ろう
Advanced Screening
最新機器があふれる現代では画面を見せないのではなくどう使わせるかが重要に TIPLYASHINA EVGENIYA/SHUTTERSTOCK
<今やテレビやスマホは子育てと切り離せない存在。悪影響を避けつつ、交流や学習に生かす利用法とは>
育児支援の米NPOゼロ・トゥ・スリーが18年10月、「スクリーン・センス」という手引の最新版を公表した。乳幼児の発達において、画面型メディアが果たす役割や影響を調査し、3歳以下の子供たちの電子画面との付き合い方を指南したものだ。
育児の専門家たちは長年、赤ちゃんが電子画面を見たり、電子機器を使ったりすることに強く反対してきた。しかし21世紀の社会では、親がそれを守ることが次第に難しくなっている。
「タブレットは今や、子供を取り巻く環境の一部になっている」と、バンダービルト大学のジョージーン・トロセス准教授(心理学)は言う。「現実世界でさまざまな人や物と接しているのなら、限られた時間を画面の前で過ごしても発達に害が及ぶとは考えにくい」
デジタル端末やタッチパネル、インタラクティブなビデオゲームがあふれる世界において、画面の視聴を絶対に認めないことは時代遅れなだけではない。子供の未来にテクノロジーが果たす重要な役割を無視している。大切なのは節度を保つことだ。
テレビやパソコン、スマートフォンなど端末の画面を見る時間(スクリーンタイム)とそれ以外の時間のバランスを取るようにしよう。画面を通して学ぶ知識が、現実世界での交流の代わりになるとは期待しないことだ。
テレビがつけっ放しなどは望ましくない
「画面型メディアの中には、発達途上の脳にとって有益なものもある。双方向性や相互交流は、子供の学びを助ける重要な鍵になる。それによって、情報が『自分に向けられた』ものだと認識できるからだ」と、トロセスは説明する。
「例えばビデオチャットなどで画面に映った人が実際に話し掛けてきたり、何らかの反応を示したりすると、子供はその人の言っていることを現実世界に結び付けやすい」
こうした画面型メディアについての新しい見解は、2歳未満の乳幼児にはテレビやゲームなどの画面を見せないほうがいいというアメリカ小児科学会(AAP)の長年の指針とは異なるものだ。AAPはこれまで、スクリーンタイムは現実世界における親子の交流を減らすという前提に立ってきた。そこでは、親子が一緒に機器を見て楽しむケースが想定されていない。
常にテレビがつけっ放しになっているのが望ましくないことは、研究が示唆している。両親と赤ちゃんの気を散らし、互いにもっと有意義な方法で触れ合うことを妨げるからだ。
しかし現実世界での交流に加えて、受け身ではない能動的な画面型メディアの利用であれば、情報と現実の状況をどう関連付けたらいいかを赤ちゃんに教えることができる──専門家たちはそう考え始めている。