少年が母親のために自分を犠牲に...映画『ウオーターマン』の新しさ
A Family Film With Diversity
子供時代にのめり込んだファンタジー映画の影響は? AUSTIN HARGRAVE
<初監督作品のファンタジー『ウオーターマン』で、家族の愛と自己犠牲を描いたD・オイェロウォの挑戦>
ファンタジー映画はハリウッドの定番ジャンルの1つだが、これまで真に多様性のあるストーリーを表現してきたとは言い難い。
しかし、『大統領の執事の涙』などで知られるイギリスの俳優デービッド・オイェロウォが初監督を務めた『ウオーターマン』(北米では5月7日に公開)がその状況を変えるかもしれない。
この映画は、家庭で過酷な日々を送り、ファンタジーの世界に救いを見いだす男の子ガナー(ロニー・チャビス)の視点で描かれる。オイェロウォは少年の父親エイモス役を演じる。母親役はロザリオ・ドーソンだ。
本誌H・アラン・スコットがオイェロウォに話を聞いた。
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――1980年代の子供向けのファンタジー映画やアドベンチャー映画に影響を受けた面はあったのか。
私もそうした映画を見て育った。冒険の旅に連れていってくれるし、何かを考えさせてくれるのがとてもいい。だから『ウオーターマン』のストーリーに魅力を感じたのに違いない。この作品も家族が試練に直面し、ファンタジーと冒険と友情の要素がある。
――『ウオーターマン』を初監督作に選んだ理由は?
心に響くものがあった。この物語の核を成すテーマは、愛、そして愛のために払う犠牲だと思う。11歳の少年が母親のために自分を犠牲にする覚悟を決める。その点に魅力を感じた。
――あなたが演じるエイモスは、いわゆる「男性的」な物事に関心を持たない息子への接し方に苦労する。主人公の少年の物語だけでなく、父親の心の旅を描くことにも重要な意味があったのか。
私には3人の息子と1人の娘がいるが、なぜか息子と娘で扱い方が違ってしまう。微妙な問題なのだが。親としては毎日が失敗の連続だ。でも、自己犠牲の精神を持って子供たちを愛することは忘れないようにしている。大事なのは、自分自身のニーズや欲望より子供たちを優先させること。エイモスはそうしていると思う。
――大物司会者のオプラ・ウィンフリーがこの映画のエグゼクティブ・プロデューサーを務めている。どのように企画を売り込んだのか。
『大統領の執事の涙』で母親と息子を演じて以来、オプラと私は長年の友人関係にある。企画については早い段階で話していた。オプラが参加を決めたのも、私にとって大切なプロジェクトだと理解していたからだと思う。
オプラは、幅広い層の観客を引き付けられる作品になっているかを見極めるための試金石のような存在でもあった。その点でも貴重な役割を果たしてくれた。