最新記事

東京五輪

ホテルで24時間監視、食事はカップ麺の「おもてなし」 欧州選手団がマジギレの東京五輪プレ大会

2021年5月15日(土)19時15分
さかい もとみ(ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載
東京アクアティクスセンターの飛び込み台

五輪最終予選とテスト大会を兼ねた水泳飛び込みのワールドカップが開催された東京アクアティクスセンター Issei Kato - REUTERS

怒りの声が上がった飛び込みW杯

市民の間では「東京五輪は中止せよ」の声が止まず、コロナの感染拡大は依然収まらない。そんな中、海外から選手を呼んで五輪最終予選とテスト大会を兼ねた水泳飛び込みのワールドカップ(W杯)が5月1日~6日、東京都内で実施された。

選手らは厳しいコロナ対策の中で大会に臨んだが、宿舎から出られず缶詰め状態、食事は全食が弁当支給と、おいしい日本食を期待してやってきた選手たちからは「なんだこの食事は!」と失望や不満が続発。東京五輪が標榜してきた「おもてなし」を発揮するべきはずが、全て吹き飛んでしまった。

コロナ禍の日本国内で行われる「多数の外国人選手が出場する最終予選」として、五輪本番前の最初で最後の機会だったこのプレ大会。運営側のチカラが試される場面でいったいどんなことが内部で起こっていたのか。怒りの声さえも上がる中、おもてなしどころか運営側のやる気すらも感じられなかった状況を詳報する。

緊急事態宣言の中、約250人が入国

東京都に緊急事態宣言が発令され、小池百合子知事が他県在住者に「GWは東京に来ないで」と訴える中、海外の選手が同時期に「隔離免除で競技へ直行」という入国特例措置で東京入りし実施された、矛盾に満ちたこのイベント。日本政府がコロナ感染対策で外国人の入国を基本的に拒否しているにもかかわらず、46カ国の国と地域から225人の選手が参加した(主催者調べ)。

この大会をめぐっては、そもそも開催前から「ケチ」が付いていた。

主催者である国際水泳連盟(FINA)が、4月に予定されていた同大会を「日本政府による感染対策に不安あり」といった理由などで、一旦は「日本での競技会はムリだ」と一方的に中止を決定。しかし、プレ大会をなんとしても実施したい日本側が、FINAや国際オリンピック委員会(IOC)との話し合いを行い、日程を延期した上でようやく復活開催にこぎつけた経緯がある。

筆者は今回の飛び込みW杯実施に当たり、「入国時の水際対策」「宿泊施設での感染対策」「選手らへの供食状況」「会場での競技運営」の4つのポイントに注目した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 9
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中