コロナで不安な世相を反映? 英米で魔女やタロットが流行中
社会が不安なときにスピリチュアルなものがはやる
未来を占うツールとして、タロット占いだけでなく星占いも人気だ。米ニューヨーク・タイムズ紙は昨年5月に、星占いのブームについて報じていた。新型コロナを予期できなかったのか、と人気星占い師に噛みつくファンがいる一方で、複数の大手星占いサイトでは3月にトラフィックが増加したという。3月といえば、世界保健機関(WHO)が新型コロナをパンデミックだと宣言し、米国で国家非常事態宣言が出された月だ。星占い人気は現在も続いており、英BBCも新型コロナの流行開始以降、星占いに関心を持つ人が増えた現象について報じている。
こうした占いや魔女など、オカルト的なものがはやる背景には、ロックダウンで活動が制限されたためにSNSで交流できる趣味に注目が集まる、という点以外に、当然ながら新型コロナそのものから生まれる不安が深く関係している。
英オックスフォード大学を構成するカレッジの1つ、キーブル・カレッジで女性文学や魔女などを専門にしているダイアン・パーキス教授は英デイリーメール紙に対し、世の中が混乱しているときに、社会はスピリチュアルなものに傾倒しがちだ、と話した。1665年にロンドンでペストが大流行した際にも、疫病から身を守るお守りが愛用されたという。
キングス・カレッジ・ロンドンの研究員サラ・ハービー氏も同様に、不穏な時代には、スピリチュアルな動きが多くなる、とFTに話した。とりわけ第1次世界大戦と第2次世界大戦の間は「スピリチュアリズムの黄金期だった」と指摘する。
しかしSNSなどデジタル・ツールがある現在は、魔女やオカルトの世界にも新たな流れができつつあるようだ。SNSでインフルエンサーとなる魔女がいる他、これまでは対面で行われていた魔女の儀式や占いなどは、新型コロナの流行を受けて主にオンラインで行われるようになってきた。このため、これまでとは異なる層にもリーチできるようになり、魔女たちの活動の場が広がっているという。