最新記事

流行

コロナで不安な世相を反映? 英米で魔女やタロットが流行中

2021年5月13日(木)17時30分
松丸さとみ

社会が不安なときにスピリチュアルなものがはやる

未来を占うツールとして、タロット占いだけでなく星占いも人気だ。米ニューヨーク・タイムズ紙は昨年5月に、星占いのブームについて報じていた。新型コロナを予期できなかったのか、と人気星占い師に噛みつくファンがいる一方で、複数の大手星占いサイトでは3月にトラフィックが増加したという。3月といえば、世界保健機関(WHO)が新型コロナをパンデミックだと宣言し、米国で国家非常事態宣言が出された月だ。星占い人気は現在も続いており、英BBCも新型コロナの流行開始以降、星占いに関心を持つ人が増えた現象について報じている。

こうした占いや魔女など、オカルト的なものがはやる背景には、ロックダウンで活動が制限されたためにSNSで交流できる趣味に注目が集まる、という点以外に、当然ながら新型コロナそのものから生まれる不安が深く関係している。

英オックスフォード大学を構成するカレッジの1つ、キーブル・カレッジで女性文学や魔女などを専門にしているダイアン・パーキス教授は英デイリーメール紙に対し、世の中が混乱しているときに、社会はスピリチュアルなものに傾倒しがちだ、と話した。1665年にロンドンでペストが大流行した際にも、疫病から身を守るお守りが愛用されたという。

キングス・カレッジ・ロンドンの研究員サラ・ハービー氏も同様に、不穏な時代には、スピリチュアルな動きが多くなる、とFTに話した。とりわけ第1次世界大戦と第2次世界大戦の間は「スピリチュアリズムの黄金期だった」と指摘する。

しかしSNSなどデジタル・ツールがある現在は、魔女やオカルトの世界にも新たな流れができつつあるようだ。SNSでインフルエンサーとなる魔女がいる他、これまでは対面で行われていた魔女の儀式や占いなどは、新型コロナの流行を受けて主にオンラインで行われるようになってきた。このため、これまでとは異なる層にもリーチできるようになり、魔女たちの活動の場が広がっているという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米大使館、取引先にDEI禁止順守を指示 スペインな

ワールド

トランプ米政権、ハーバード大への助成・契約90億ド

ワールド

アルゼンチン貧困率、24年下半期は38.1%に急低

ワールド

豪中銀、政策金利据え置き 米関税の影響懸念
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中