コロナで不安な世相を反映? 英米で魔女やタロットが流行中
新型コロナのパンデミック以降、タロットの売り上げは劇的に増加した...... urbazon-iStock
<英国や米国では、タロット・カードや魔女など、いわゆる「オカルト」と呼ばれるものがブームになっている。その理由とは...... >
SNSでの魔女人気
新型コロナウイルス感染症の流行で生活が不安定な中、英国や米国では、タロット・カードや魔女など、いわゆる「オカルト」と呼ばれるものがブームになっている。タロット・カードの売り上げが増加している他、インスタグラムやTikTokなどのソーシャル・メディア(SNS)では、魔女に関するハッシュタグが多く投稿され、「魔女」と称する人物のアカウントも人気だ。
4月6日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)によると、インスタグラムで人気の高い「魔女」のアカウントのうち、上位10人のフォロワーを合計すると300万人に達するという。この数は、ここ1年で倍増した。
FTは記事の中で、TikTokに投稿された #witchtok(「witch」は「魔女」の意味)というハッシュタグが付いた動画が110億回以上視聴されたと報じていた。このハッシュタグが付いている動画は、魔女や魔術に関連したもので、おまじないや呪文の方法などが主に投稿されている。
記事から約1カ月後の現在では、視聴回数は130億回に増加している。同記事は、#biden(バイデン) の視聴回数は#witchtokよりも20億回少ない90億回だったとしていたが、#bidenの視聴回数は現在100億回と両者の差が開いていることから、#witchtokの勢いが増している様子がうかがえる。
Witchtok compilation | 2021 | part 1
ブームはZ世代がけん引
キリスト教がベースにある英語圏の文化では、魔女やオカルトといった類は、「異端」とみなされる傾向にあった。しかしタロットの大手メーカー、USゲームズ・システムズはFT(4月16日付)に対し、タロット・カードは「メインストリームになってきており、タロットで占うことは、もはやオカルトとは受け取られなくなった」と話した。
同社によると、タロット・カードの売り上げはここ数年で堅調に伸びてきたが、とりわけ新型コロナのパンデミック以降、劇的に増加したという。売り上げのペースがあまりにも速いため、多くのカードで印刷部数を倍増させたほどだ。
スピリチュアル・グッズを扱う店を米アトランタに持つキャンディス・アップル氏は米ワシントン・ポスト紙に対し、タロットの売り上げが好調なので、店正面のより大きなスペースに売り場を動かしたと話した。同氏によると、売り上げの増加をけん引しているのは、1990年代中盤から2000年代前半に生まれたZ世代だ。
「売り上げの増加は間違いなく、スピリチュアルな道を求めたり、先行きが見えない社会で直面する悩みの答えを模索したりしている18~25歳の人たちによるところが大きい」と同氏は話している。さらに、SNSによる影響もかなりあると同氏は指摘する。タロット占いについて若者が交流する場が、TikTokやYouTube、Instagramなのだ。