最新記事

北朝鮮

金正恩が指揮者を公開処刑、銃弾90発──韓国紙報道

Kim Jong Un Had Conductor Executed by a Firing Squad, S. Korean Paper Says

2021年5月11日(火)20時08分
ジョン・ジャクソン
金正恩

金正恩が指揮者を処刑したという話の真偽は不明だが、ネットでは大きな話題だ KCNA/REUTERS

<故金正日総書記の生誕記念公演での些細な発言が原因?>

韓国の新聞が先日、北朝鮮の最高指導者である金正恩総書記の命令で、合唱団の指揮者が公開処刑されたと報じた。記事によれば、この人物は大勢の人の目の前で90発も銃で撃たれて死亡し、合唱団はその遺体の周囲を行進することを強要されたという。

日刊紙「東亜日報」の記者、周成賀が書いたこの記事は、4月29日に発行された後、インターネット上で拡散されている。現時点で、記事の内容を裏づける証拠は見つかっていない。

周によれば、きっかけは故金正日総書記の誕生日である2月16日の出来事。北朝鮮はこの日を「光明星節」として祝っており、金正恩は妻と共に平壌にある万寿台芸術劇場で記念公演を鑑賞した。

公演の演目のひとつが「シャドー・マジック」と呼ばれるもので、俳優たちがスクリーンの裏で手品を行うパフォーマンスだったという。周によれば、公演後に金正恩が劇団を褒めたが、ある指揮者が近くにいた人物に「自分はそんなにいいと思わなかった」と話したのが密告で金の耳に入ったらしい。その夜遅くに、この指揮者は身柄を拘束されたと周は書いている。

3人のライフル銃兵が30発ずつ

そして2日後、平壌在住のすべてのアーティストに集合命令が下った。記事によれば、彼らが2月20日に処刑場に集まると、問題の発言を行った合唱団の指揮者が縛りつけられていたという。

周は記事にこう書いている。「合唱団の指揮者は、集まった人々の目の前でひどい死に方をした。処刑はAK47自動小銃を持ったライフル銃兵3人によって行われ、それぞれの銃兵が10メートルの距離から30発ずつ撃った。90発の弾で撃たれた遺体は、持ち上げることもできないほどずっしりと重かった」

記事によれば、処刑されたのは記念公演の指揮者を務めた人物で、名前は「Hyun-woo Cho(チョ・ヒョンウ)」と聞こえたという。周は記事の中で、この名前についてインターネットで調べてみたところ、指揮者で同じような発音の名前の人物は「Hyun-ho Ryu」だけだったと書いている。

周は記事を書いた時点で、処刑された人物の名前にはいまだに確信は持てないと述べ、「だが問題の指揮者が公開処刑されたことは確かだ」と書いている。 

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB当局者、6月利下げを明確に支持 その後の見解

ビジネス

米住宅ローン金利7%超え、昨年6月以来最大の上昇=

ビジネス

米ブラックストーン、1─3月期は1%増益 利益が予

ビジネス

インフレに忍耐強く対応、年末まで利下げない可能性=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 9

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中