最新記事

中東

イスラエル市民の4分の3はハマスとの停戦に反対

Three-Quarters of Israelis Opposed to Proposed Ceasefire With Palestinians

2021年5月21日(金)20時00分
ジェイソン・レモン
ガザ地区から着弾したロケット弾の周囲を囲むイスラエル市民(5月19日、アシュドッド)

ガザ地区から着弾したロケット弾の周囲を囲むイスラエル市民(5月19日、アシュドッド) Baz Ratner-REUTERS

<最新の世論調査で回答者の72%が「ガザ地区に対する軍事作戦は継続すべき」との考えを示した>

イスラエルとパレスチナ自治区のガザ地区を実効支配している主要な2つの武装組織の間で、5月21日の午前2時に停戦が発効した。だが最新の世論調査によれば、イスラエル市民の4分の3はパレスチナとの停戦に反対しており、イスラエル軍はガザ地区への攻撃を続けるべきだと言っている。

イスラエルとハマスとの間では、5月10日以降、激しい攻撃の応酬が続いており、AP通信によればパレスチナ側ではこれまでに、子ども65人を含む少なくとも230人が死亡。イスラエル側では、5歳の男の子と16歳の少女を含む12人の死者が出ている。こうしたなか、アメリカをはじめとする各国は、イスラエルとガザ地区のイスラム原理主義組織「ハマス」、およびイスラム過激派組織「イスラム聖戦」に対して、停戦での合意を促してきた。

だが20日にタイムズ・オブ・イスラエル紙が公表した新たな世論調査(ダイレクト・ポールズ社が実施)の結果によれば、イスラエル人の大半は停戦ではなく、軍事行動の継続を支持している。調査に回答した人の72%が「軍事作戦は継続されるべきだ」という考えを示し、イスラエル軍は停戦に合意すべきだと答えたのは回答者のわずか24%だった。

バイデンも迅速な停戦を呼びかけてきた

また回答者の過半数が、イスラエル軍によるこれまでの軍事作戦の成功を評価。軍が今回、パレスチナ武装勢力との過去の衝突よりも大きな「成果」を挙げていると回答した人が、全体の3分の2(66%)にのぼった。

調査は684人のイスラエル市民を対象に実施され、誤差範囲は±4.3%だった。

アメリカ政府はこれまで、一貫してイスラエルの自衛権を支持してきたが、ジョー・バイデン米大統領もパレスチナ人に多くの死者が出ていることに懸念を表明し、迅速な停戦合意を呼びかけた。

米ホワイトハウスは19日に、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とバイデンの電話会談の内容について声明を発表した。

声明は、「両首脳はガザ地区の情勢や、ハマスをはじめとするテロ組織の能力低下に関するイスラエル側の進捗状況、中東地域の各政府やアメリカによる外交努力などをめぐって、詳細な議論を行った」と説明。さらに「バイデン大統領はネタニヤフ首相に対して、停戦への道筋として今日、大幅な緊張緩和を期待していると伝えた」と述べた。

ハマスの政治部門幹部であるムサ・アブ・マルズクは19日にロイター通信に対して、停戦は近いとの見方を示していた。「一両日中に停戦がまとまり、双方の合意に基づいて停戦が発効するだろう」と彼は述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進

ビジネス

トランプ氏が解任「検討中」とNEC委員長、強まるF
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 6
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 7
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 8
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 9
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 10
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中