最新記事

トランスジェンダー

トランスジェンダーの子供を脅かす暴力的な米保守派

Transgender 4th Grader Gets Death Threats

2021年4月22日(木)18時35分
ダニエル・ビャレアル

ブリッグルは「脅迫のボイスメッセージ」を受けて身の危険を感じ、警察に通報したとツイッターで明かした。彼女は、テキサス州の共和党議員らが攻撃をあおっているとして、4月20日に「テキサスの議員が扇動」というハッシュタグを付けて、こうツイートした。

「彼らが攻撃を開始し、彼らの暴力的な支持者が待ってましたとばかりにバッシングを始めた......州議員が火をつけた......州民の安全を守るために選ばれた議員が、私の家族を危険にさらしている」

続けてこうも訴えた。「暴力的な保守派が、トランスジェンダーの子供に嫌がらせをしている。ネット上でも実生活でも。州議会で勇敢にも証言した子供を、いい年をした大人がいじめている。ネット上で子供を『殺す』と脅すなんて恥知らずにも程がある」

バンダービルト大学医療センターの医師で、未成年のトランスジェンダーの専門家であるメアリー・ロマーノは、生まれつきの性と性自認の不一致に悩む子供の治療について、保守派や保守派メディアはしばしば歪曲された情報を流していると指摘する。

精神的苦痛に理解を

専門医は通常、すぐに性転換の治療を施すようなことはしないと、ロマーノはバイス・ニュースに語っている。まず子供に自らの性についてじっくり考えさせ、カウンセリングを受けさせるよう親に助言する。治療をするのは、そうした手順をしっかりと踏んでからだ。

子供が自らの性を決めかねている間に思春期を迎える場合は、思春期に伴う不可逆的な体の変化を遅らせるため、「第二次性徴抑制剤」を処方する場合もある。ロマーノによれば、未成年者への投与のリスクは少ない。

性別違和を抱える子供に家族が理解を示し、適切な治療を受けさせることで、精神的な苦痛を軽減し、自殺未遂を減らせることは、数多くの研究で実証されている。

にもかかわらず、保守的な支持基盤にアピールするため、治療に関する個人の選択に踏み込むような法案を提出する動きには怒りを禁じ得ないと、「全米トランスジェンダー平等センター」の広報担当ギリアン・ブランスタターはバイス・ニュースに述べた。

<参考記事>「トランスジェンダーであるだけで殺される国」パキスタンに「LGBT法」成立
<参考記事>ラピノー、吠える 全米25州でトランスジェンダーの子供のスポーツ試合出場が禁止される?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トムソン・ロイター、第1四半期は予想上回る増収 A

ワールド

韓国、在外公館のテロ警戒レベル引き上げ 北朝鮮が攻

ビジネス

香港GDP、第1四半期は+2.7% 金融引き締め長

ビジネス

豪2位の年金基金、発電用石炭投資を縮小へ ネットゼ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中