アフガンの戦場から米兵が去った後、殺人マシンによる「永続戦争」が残る
No End To Forever Wars
新たな戦争マシンの登場
最も重要なのは、アフガニスタンでの戦争を支える仕組みの大部分が「安全」な国にあることだ。中東やヨーロッパのどこかにあり、アメリカ本土にもある。
そして、こうした戦争マシンをつなぐのがグローバルな情報ネットワークだ。これを通じて大量の情報が収集・処理・共有され、世界中どこでも標的を見つけ出し、攻撃を仕掛けられるシステムが維持されている。
途方もないネットワークだが、これには世界中の国の半分が関与している。1つのハブ(巨大な司令部と情報センターで構成される)から無数のスポークが延び、中東や南アジア、さらにはアフリカまでもカバーしている。この仕組みのことはほとんど理解されていないし、ほとんど目に見えず、実に強靱で効率的だ。4人のアメリカ大統領が戦争の終結を模索している間も、このネットワークはどんどん成長してきた。
この新たな戦争マシンこそが永続戦争の正体だ。このシステムは、アメリカが日常的に爆撃や殺害を実行している約20カ国で構成されている。このアメリカモデルでテロリストを殺害するのなら、地上部隊の現地配備はほとんど必要ない。だから地上部隊は「撤退」させてもいい。
こうして永続戦争は見えない場所で続くが、戦場で死傷する兵士はわずかだ。戦術が変わり、遠隔攻撃が増えたからだ。そして人的な犠牲が少なければ、国民はどんどん戦争に無関心になる。
この混沌とした世界で、アメリカは今もおそらく10の国で殺人や爆撃を行っている。確実に知られているのはアフガニスタン、イラク、シリア、パキスタン、ソマリア、イエメンだ。時々知らされるのはリビア、ニジェール、マリ、ウガンダ。あまり知られていないのはブルキナファソ、カメルーン、チャド、レバノン、ナイジェリア。そしてフィリピン、中央アフリカ共和国、エチオピア、エリトリア、ケニア、タイでの活動も、まれに伝えられる。
これら21カ国以外にも、アメリカの特殊部隊は約70の国に展開している。彼らは単独で、あるいは同盟国と協力して活動し、時にはテロリストと戦い、時には国際的な犯罪組織と戦う。情報を収集し、将来の軍事行動に備えているだけのこともある。
それらの国々の戦争の中心、つまり永続戦争マシンの中心にあるのは中東地域に存在するハブだ。戦闘とは無縁で安全と想定される国々に、司令部と基地が設けられている。例を挙げればヨルダンやクウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦、カタール、オマーン、サウジアラビア、ジブチといった諸国に、司令部の施設と空軍および海軍の主力戦闘基地がある。