文在寅政権・与党関係者の相次ぐ不正行為に不満が鬱積......ソウルと釜山の市長選惨敗の背景
さらに、曺元長官の後を継いだ秋愛美(チェ・エミ)前法相は、前任長官の疑惑解明を指揮した尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長の側近の検察幹部32人を異動させる「大虐殺人事」を断行、尹総長の職務を停止した。
その秋愛美法相も息子が徴兵で難関とされている部隊に入隊し、不正に休暇を取るなど優遇を受けた疑惑が浮上した。
30代から40代は、住宅価格の高騰に対する不満が強い。文政権は発足以来、20回以上、不動産政策を発令したが、不動産価格がさらに高騰し、マイホームの夢が遠のいたのだ。
そんななか、LH投機が発覚した。韓国住宅供給公社(LH)の職員らが内部情報を不正に利用し、土地開発に伴う補償金を取得し、或いは転売して利益を得る目的で、首都圏の京畿道光明市や始興市などの新都市建設予定地の農地などを購入していたことが発覚した。
新市長の市政が来年の大統領選に少なからぬ影響を及ぼす
2020年12月、野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)代表がソウル市長選への出馬を宣言し、翌21年1月、朴映宣前中小ベンチャー企業部長官と呉世勲元ソウル市長が市長選への出馬を宣言した。
事実上、更迭されて辞任した尹錫悦検事総長が次期大統領候補として人気を博すなど保守党に追い風が吹くなか、保守票が割れることを懸念した国民の党は安哲秀代表が出馬を辞退して、ソウル市長の経験がある呉世勲候補に一本化した。
市長選は終始、保守優位だった。朴映宣候補は呉候補の市長時代の政策を批判したが、朴候補は反日煽動を展開した一方、夫名義で東京・赤坂にマンションを保有し、レクサスを所有しているなど、ダブルスタンダードという批判を浴びた。
選挙管理委員会に対する批判もあった。選管が呉世勲候補の配偶者の納税額が事実と異なると公告して、野党側が、選管が呉候補の落選運動を行ったと批判した。
また、ソウル市瑞草区のあるマンションで「今回(イボン)、必ず投票しようという」と呼び掛けがあった。韓国の選挙では候補者に番号が付されており、「今回」と呉世勲候補に付されたの「2番」はいずれも「イボン」と発音することから、呉世勲候補への投票を呼び掛けたと与党関係者が通報して警察が捜査に乗りだす一幕もあった。
ソウル市議会は110議席中102議席を共に民主党が占めており、新市長の前途は多難だが、新市長の市政が来年の大統領選に少なからぬ影響を与えること否めないだろう。