サンフランシスコからの転出、昨年全米最多──テック企業大脱走か
San Francisco, Amid Big Tech's Battles With City, Lost More Residents Than Anywhere Else in US
調査レポートによれば、デジタル・リアルティとオラクルは、それぞれの本社をテキサス州オースティンに移転すると発表し、クレジット・カルマはサンフランシスコのオフィスを完全に手放した。ソフトウェア会社のオプティマイズリーは、7万8000平方フィートの本社全体を賃貸に出している。イェルプはサンフランシスコの拠点を維持する計画ではあるものの、やはり本社全体を賃貸に出している。
CEOのなかには、カリフォルニアをこき下ろす者もいる。たとえばイーロン・マスクは2020年、パンデミック下の外出禁止令で自社工場の操業再開が許されなかったことで州政府当局と衝突したあと、テスラの工場をテキサスに移転すると宣言した。
そもそも新型コロナウイルスの流行前から、シリコンバレーのテック業界は長年、一般市民や自治体当局と緊張関係にあった。サンフランシスコは2018年、テック業界に「ホームレス税」を課す法案を住民投票で可決した。貧富の格差も全米有数といわれるこの町で、ホームレス支援の財源をテック企業から年間利益の0.5%ほど徴収する法律だ。セールスフォースのマーク・ベニオフCEOのように賛成する財界人もいた一方、ツイッターのジャック・ドーシーCEOやサンフランシスコの商工会議所は、この法案に反対するロビー活動を展開した。
州内に留まり様子見の従業員
テスラ専門のニュースサイト「テスララティ(Teslarati)」が入手した市の許可書によると、テスラにはカリフォルニア州フリーモントの工場を拡張する計画があり、テキサスに工場を移すというマスクの脅しは単なる虚勢にすぎない可能性もある。ただし、前述のCBRE調査によれば、サンフランシスコからテキサスへ転居した人の数は、パンデミックのあいだに30%以上増加したという。
ただしサンフランシスコから転居した人の大半は近隣にとどまっており、サンフランシスコ郡からサクラメント郡への転居は、2020年に70%増加した。ヤスコチは、サンフランシスコのビジネスセクターの強みが失われる心配はしていないという。それどころか、サンフランシスコの人口に関しては、すぐにブーメラン効果のようなものが起きると予想する。
「人々は本当に突然、オフィスに行くことから解放された」とヤスコチは言う。「だが勤務時間の一部でもオフィスに来るように雇用側が求め始めたら、人々はサンフランシスコの街に戻ってくると予想している。すでに、任意を原則としてオフィス勤務を再開するといち早く発表した企業がいくつかあるが、この夏には、そうしたことがさらに大規模に見られるようになるのではないか」
(翻訳:ガリレオ)