トランプ大減税を巻き戻し、格差縮小を目指すバイデンの法人税増税案
Top US CEOs Open to Corporate Tax Rate of 28%, Biden Says Trump Cuts Failed
増税案を支持したアマゾンのベゾスCEO。アマゾンなどの大企業は連邦所得税をほとんど払っていないと批判が強い Joshua Roberts-REUTERS
<トランプが大幅に引き下げた法人税を取り戻し、巨額インフラ投資計画で雇用と中間層を救う計画だが、甘い汁を吸ってきた企業の反対も強い>
ジョー・バイデン米大統領は、2兆ドル規模のインフラ投資計画の財源を賄うために、法人税率の引き上げを提案。アメリカの複数の大手企業CEOが、これを全面的に支持すると表明している。複数のホワイトハウス関係者はこの法人税率の引き上げについて、2017年に共和党政権が実施した富裕層と大企業優遇の減税措置を撤回するものだと言っているが、共和党とワシントンの企業ロビイストたちは増税に反対している。
バイデンの増税案は、現行21%の法人税率を28%に引き上げるというもの。これによって増える税収およそ8500億ドルをインフラ投資計画の財源に充てる計画で、ドナルド・トランプ前大統領が法人税率を35%から21%に引き下げた税制改革法案との「中間点」を模索した結果だ。
バイデンが「フォーチュン500企業のうち、2020年に連邦法人所得税を1セントも払わなかった91社のひとつ」と批判していたアマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は、バイデンの増税案を支持すると表明。配車サービス企業リフトのジョン・ジマー共同創業者兼社長も4月7日、CNNに対して、法人税率の引き上げを支持すると述べた。
今週ロイターの取材に応じた12人超の企業トップやホワイトハウス関係者は、バイデンが法人税率の25%の引き上げで妥協することを期待していると語った。バイデン自身、7日にホワイトハウスで行った演説の中で「議論を歓迎する。妥協は避けられない。修正があるのは間違いない」と言っていた。
25%で妥協となるか
税率25%にすれば増収分は5000億ドル未満に減るが、ウェストバージニア州選出のジョー・マンチン上院議員をはじめとする民主党穏健派は、25%への引き上げならば支持できると言っており、バイデンのインフラ法案が議会で可決される可能性も高い。アメリカの法人税率は1960年時点で50%を超えていたが、その後の減税で今はその半分以下の水準となっている。
大手エネルギー企業のロビイストはロイター通信に対して、「歓迎はしないが、(引き上げ後の法人税率が)25%になることを期待している」として、「それが達成されればよしとする」と述べた。
バイデンに加えてホワイトハウスの複数の側近も、2017年の共和党政権による法人税率の減税措置を非難。スティーブン・ムニューシン財務長官(当時)の主張とは異なり、一度も「公約された労働者への還元効果はなかった」と指摘している。バイデンのインフラ計画には、富裕層が税の徴収から逃れることがないように、内国歳入庁(IRS)の執行能力を強化する案も含まれている。