黒人の投票を制限する「現代のジム・クロウ法」にコカ・コーラやMLBが反対表明
McConnell: Coca-Cola, MLB 'Quite Stupid' for Opposing Voting Restrictions
コカ・コーラ社は本拠地であるジョージア州の人種差別的な選挙法改正に反対する声明を出した MoreISO-iStock
<共和党の重鎮ミッチ・マコネルが「企業は政治に口を出すな」と擁護したジョージア州改正選挙法のからくり>
ジョージア州で先月成立した、有権者の投票行動を制限する法律に対し、企業にも反発が広がっている。米大リーグ機構(MLB)やコカ・コーラ、デルタ航空などが反対を表明しており、上院のミッチ・マコネル院内総務(共和党)はこれらの団体や企業を「とても愚かしい」と批判した。
共和党が多数派を占めるジョージア州議会は今年3月、州の選挙法を大きく変更する改正案を可決した。ジョージア州のブライアン・ケンプ知事(共和党)が署名したこの法律は、有権者、とくに民主党支持者が圧倒的な黒人有権者の投票行動を妨害することになると民主党や人権活動家、多くの企業が反対している。テキサス州議会上院でも同じ趣旨の法案が可決されており、共和党主導の州議会は全米で類似の選挙法改正を検討している。
ジョージア州の改正投票法により、有権者の身元確認が厳格化され、不在者投票ができる期間が短くなる。選挙実施当局による不在者投票申請用紙の郵送は禁止され、投票用に街頭に設置される郵便箱の数も減らされる。投票待ちの人々に水と食料を提供することも犯罪になる。黒人有権者の投票を制限するための「現代のジム・クロウ法(投票制限法)」と言われる所以だ。
「激しい論争の的となっている問題の真っただなかに飛び込むのは非常に愚かだ」と、マコネルは4月6日、ケンタッキー州で記者団に語った。企業にも「政治プロセスに参加する権利はある」が、「政治には口を出すべきではない」と警告した。
投票権は神聖なものだ
コカ・コーラとデルタ航空は、ジョージア州の選挙法改正に懸念と反対を表明した。MLBはこの法律が成立したことから、2021年のオールスター戦の開催地をアトランタからデンバーに変更すると発表した。これはジョージア州にとって、数百万ドルもの損失となる。
マコネルの発言に関してコカ・コーラ社は以前の声明を再び引用した。「わが社は本拠地であるジョージア州において最近制定された選挙法に懸念を抱いており、そのことに関する生産的な対話に興味を持つジョージア州の議員と会合を続ける機会を歓迎する」
デルタ航空の広報担当者は、エド・バスティアン最高経営責任者(CEO)からの3月31日の公開メモを引用した。
「私がはっきりさせたいのは、この法案は受け入れがたいものであり、デルタ航空の価値観と一致しないということだ」と、バスティアンは書いている。「投票権は神聖なものだ。それはわれわれの民主主義の基本であり、投票権は保護される必要があるだけでなく、安全で確実な方法で円滑に実行されなければならない」
MLBからの返答はまだない。