最新記事

アジア人差別

あからさまな中国人差別を含む社会科テストで米中学校教諭3人が休職処分

Anti-Chinese Stereotypes Used as Test Answers in Texas Middle School Quiz

2021年4月2日(金)16時40分
ダニエル・ビジャレアル
アジア系へのヘイトクライムに抗議する集会(3月27日、デンバー)

コロラド州デンバーで3月27日に開催された集会でアジア系へのヘイトクライムに抗議する参加者 Alyson McClaran-REUTERS

<回答の選択肢に「中国ではげっぷをしたら唇を切り落とすのが普通」と記載>

米テキサス州の中学校で、社会科テストの設問に中国人に関する差別的な記述があり、担当教諭3人が休職処分を受けた。中学校を管轄する学区が、事実関係の調査を進めている。

問題が起きたのは、テキサス北部のブララック中学校。社会科の授業を受けていた女子生徒の姉が、テストの設問の写真を撮影した。設問には、このように書かれていた「以下のうち、中国で普通に行われていることとして正しいものはどれか?」

地元テレビ局KHOUによると、設問の選択肢は次の通りだった。「A.) レストランでげっぷをした人の唇を切り落とすのは、中国では普通のことである。B.) 飴1つを盗んだ子どもを杖で50回打つのは、中国の一部では普通のことである。C.) 猫や犬を食べるのは、中国の一部では普通のことである」

(問題のテストを投稿したジョイ・リムのツイッター)


中国人団体が謝罪要求

写真を撮影した姉のジョイ・リムは、自身も同じ学区の中学校の卒業生で、ツイッターにこの写真を投稿して学区に連絡した。

「妹の肩越しにこの設問が見えたとき、とにかく衝撃を受けた」と、リムはKHOUに語った。「あれで問題ないと、いったい誰が考えたのか理解できない。教師がアジア系アメリカ人だったら、あの設問が出されることはなかったはずだ。自分が家にいて、この現場を押さえられてよかったと思う」

3月31日に学区が出した声明では、次のように弁明している。「テストの設問で使われた言葉は、侮蔑的で、人を傷つけるものだ。関係した教師らについては、調査が完了するまで、休職させる措置を取っている」

また、「よりインクルーシブ(包摂的)で敬意をもった環境を作る取り組みとして」、職員向けの多様性トレーニングを開始したばかりだとも述べた。

(教師3人の休職を発表した学区の声明)


一方、テキサス州の中国人団体「ダラス・フォートワース・チャイニーズ・アライアンス」は4月1日、この学区に対して、関係した教師の解雇と、すべてのアジア系の生徒、保護者、コミュニティーに対する謝罪の表明を求める申し立てを行った。多様性への感受性を育てるトレーニングをすべての教師と生徒に受けさせることも求めた。

「担当の教師3人は、社会科教育テストで中国系アメリカ人に対する人種差別的な言語表現を用いたことで、アジア系アメリカ人の生徒を公然と差別し、いじめる行為をおこなった」と申し立ては述べている。「この学区や近隣コミュニティーのアジア系の生徒と家族は、ひどい侮辱を受け、憤っている」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏、ICCを支持 イスラエル首相らの逮捕状請求で

ワールド

中国外相、台湾新総統を批判 「国家と祖先を裏切る」

ビジネス

米カーライルの新たな日本投資特化ファンド、過去最大

ビジネス

正のインフレ率での賃金・物価上昇、政策余地広がる=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル…

  • 7

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 8

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 9

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 5

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中