中国進出企業は今すぐ撤退せよ
LEAVE CHINA NOW
自国と中国政府の板挟みに
ナイキ、アップル、コカ・コーラなどもウイグル問題でまずい対応をし、消費者の反発を買った。強制労働による製品の輸入を禁止する米「ウイグル強制労働防止法案」を骨抜きにしようと、ロビー活動を展開したのだ。
結局その動きは不買運動を招いただけで、法案は昨年9月に米下院を圧倒的な支持を得て通過し、上院でも近々承認される見込みだ。
中国に進出したグローバル企業が直面するリスクはほかにもある。中国政府はスウェーデン政府に華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)製品の使用禁止を取り下げさせようと、スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンのCEOに圧力をかけた。スターバックスも同様の憂き目に遭った。
ファーウェイ問題で中国政府に糾弾された欧米企業がどのくらいあるかは想像に難くない。
こうしたリスクがあっても企業が中国にとどまるのはなぜか。聞くのもやぼだろう。
中国は人口14億の巨大市場で、「世界の工場」とうたわれた優れた生産インフラがある。自動車や家電など高度な製造技術が求められる製品のメーカーにとって、中国の工場は不可欠の生産拠点だ。
さらに意地悪な質問をしよう。グローバル企業の経営陣は、自国政府から譲歩を引き出すよう中国政府に迫られたらどうするか。工場誘致のための優遇措置を受けていればなおさら、中国政府の圧力には抵抗し難いだろう。
あらかじめ対処法を練っていたとしても、自国政府が中国のルール違反に制裁を科し、中国側が理不尽な報復措置で応じる事態になったらどうするか。オーストラリアの農産物輸出業者は、それによる大損害を経験済みだ。
「中国市場に供給するリスクは確実に高まっている。2021年はオーストラリアにとって、中国への依存度が下がり始める分岐点になる可能性が高い」と、オランダを拠点とする金融サービス企業のラボバンクで食品・農業ビジネスのリサーチ部門を率いるティム・ハントは語る。
一方で、欧米の市民は中国に対し、数年前より後ろ向きになっている。ピュー・リサーチセンターが昨年夏に行った世論調査では、オーストラリア人の81%が中国に好ましくない見方を抱いており、2017年の32%から増えている。
同様にスウェーデン人は49%から85%、イギリス人は37%から74%、アメリカ人は47%から73%、カナダ人は40%から73%、ドイツ人は53%から71%に増えている。