持ち家 vs 賃貸? いいとこ取りの第3の選択が、コロナ禍のNYで脚光
スタートアップも登場、コロナ以降も定着か?
柔軟なオプションを提供するRent-to-Ownだが、すべての物件に適用できるわけではない。家主が戦略的にこの契約形態を設定している物件でのみ利用可能なため、数としてはむしろ限定的だ。借り手が理想の物件に巡り会えたとしても、その物件がRent-to-Ownに対応していないというケースは十分に考えられる。
このような状況を解消すべく、Rent-to-Ownを専門に手がけるスタートアップ企業が誕生した。ニュース専門チャンネルのFOX 5 アトランタは一例として、ディヴィー・ホームズ社の取り組みを伝えている。同社のサービスを経由すれば、多くの物件をRent-to-Ownに近い形で利用することが可能だ。
仕組みは次のようなものだ。借り手はまずディヴィー社にオンラインで申し込み、信用状況に応じた予算枠の指定を受ける。次に、地元にある通常の不動産業者を訪れ、予算の範囲内で希望の売買物件を見つける。内見をして気に入ったら購入となるが、購入者は代金の1〜2%を支払うだけで良く、残りはディヴィー社が負担する。
物件自体はこの時点ではディヴィー社の所有となるが、購入者に対して36ヶ月間のリース契約を結ぶため、借り手は賃貸感覚で月々のリース料金を払いながら住めるというわけだ。
36ヶ月が経った時点で、借り手は決断を行う。購入を見送りたければ退去するだけで良く、違約金は不要だ。購入したい場合はディヴィー社と事前に合意した額を一括支払いする必要があるが、36ヶ月の支払い実績によりクレジットの信頼スコアが上昇しているため、一般の住宅ローンなどに比較的スムーズに借り換えられるという仕組みだ。
日本でいうリースバックにも似ているが、リースバックはすでに住宅を持っている人物が手元資金を確保する目的で行うのが主要なケースだ。一方同社は、まだ信用スコアが足りずに住宅を購入できない比較的若い購入者などを主なターゲットにしている。
ディヴィー社の創業はコロナ以前の2017年だが、最近ではコロナ不況による需要拡大を見込んだ他社も新規参入してきている。参入が続く現状を踏まえると、エリアによってはコロナ収束後もRent-to-Ownが定着してゆく可能性がありそうだ。