持ち家 vs 賃貸? いいとこ取りの第3の選択が、コロナ禍のNYで脚光
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<賃貸 vs 持ち家論争は永遠のテーマだが、第3のオプションにもご注目。コロナ禍のニューヨークでは、両方をいいとこ取りした居住契約が脚光を浴びている......>
ニューヨークではコロナ禍の昨年から、賃貸と購入のハイブリッド版ともいえる居住契約が人気を集めている。Rent-to-Own(購入選択権付き賃貸)と呼ばれるもので、いわば「お試し賃貸期間」つきの購入契約だ。実際に数年程度住んでみて、気に入れば購入しても良いし、しないのもまた自由だ。
間取りの使い勝手、その街の雰囲気、住人の様子など、実際に暮らしてみないと見えてこないポイントは多い。住宅という大きな買い物をするにあたり、賃貸でお試し期間を過ごせるのは大きなメリットだ。
賃貸期間中は家賃が発生するが、その一部は購入時の頭金に充当されるため、通常の賃貸物件に住む場合と比べて非常に無駄が少ない。もし購入を見送る場合でも、違約金などのペナルティは一切ないため、次の場所を見つけて移住するだけだ。
賃貸期間は個別の契約次第だが、1〜3年とするのが一般的になっている。期間終了後は物件の購入または退去の二択となり、原則として賃貸契約を更新して住み続けることはできない。そのため賃貸期間部分に関しては、日本でいう定期借家契約に近い契約形態と言えるだろう。ここは唯一、借り手に不利なポイントだ。
米フォーブス誌は、借り手の視点から多くのメリットを挙げている。購入する場合の価格は契約時に決定されるため、賃貸が終了した時点で周囲の不動産相場が顕著に下がっていれば、ノーリスクで購入を辞退することができる。
また、現時点で収入やローンの与信スコアなどが十分でない場合、物件の購入権をキープしつつ、賃貸終了までにより良い職を目指すという選択肢も生まれる。借り手にとって非常に柔軟なプランだ。
厳密にはRent-to-Ownには2つのタイプがあり、以上はこのうちリース・オプションと呼ばれるものだ。ほかにリース・パーチャスと呼ばれる契約形態があり、そちらでは賃貸期間終了後の購入が契約上の義務となる。
当然ながら借り手にとっては、選択権を残した前者の方が有利だ。この形式でより良いマンションへの引っ越しに成功した、ニューヨークに暮らすカップルの事例を見てみよう。
実質おなじ家賃で、ボロ家から築浅へ
ニューヨーク・タイムズ紙は、本プランを実際に利用したカップルの記事を掲載している。
テキサスで輸入業を営むキンブロ氏は、仕事で訪れるニューヨークにもマンションの一室を借りていた。26平米で月額約29万円という高額な家賃も、ニューヨークの相場からすれば不満はなかったという。