最新記事

新型コロナウイルス

赤ちゃんの手足が真っ青に──コロナ関連小児多臓器症候群(MIS-C)の恐怖

Girl's Feet Turned Blue by COVID-Linked Illness MIS-C

2021年3月1日(月)16時45分
アリストス・ジョージャウ

両親はただ泣き崩れた ostinbids-iStock.

<家族そろってコロナから回復、ほっとしていたある日、保育園から緊急の連絡が......>

生後5カ月の娘が新型コロナウイルス感染後しばらく経ってから、手足が真っ青になって救急搬送された――そんな恐ろしい体験をオハイオ州在住の女性が語った。

体験談を公開したのは看護師のローレン・グラント。フェイスブックに娘のマデリンが、新型コロナウイルスの関連症状である「小児多臓器炎症候群=MIS-C (Multisystem Inflammatory Syndrome in Children)」に罹患したと書き込んだ。

MIS-Cでは心臓や肺、腎臓や脳、皮膚、消化器など全身のさまざまな部位で炎症が起きる。原因は不明だが、米疾病対策センター(CDC)によれば、MIS-Cを発症した子供の約99%は新型コロナウイルス検査で陽性だったという。残りの1%の子供も、身近にコロナ感染者がいた。

「(娘の)炎症反応は心臓や血管で起きていたようです。そう、これはまさに、皆さんがニュースで聞いたことがあるかも知れない症状です」と、グラントは書いた。「とても恐ろしい症状です。新型コロナウイルスのことを絵空事だと今でも思っている人がいたら、この投稿の先を読んで欲しいと切に願います」

両親は不安に駆られてただただ泣いた

フェイスブックの投稿によれば、グラントの家族はしばらく前、全員が新型コロナウイルス感染症と診断された。

「私たちはみんな回復したので、マデリンもよくなっていると思っていました。でも間違っていました。だから私はここで皆さんに経験を伝えているのです。最近、コロナにかかった小さいお子さんがいる人の助けになればと思って。油断しないで、自分の直感を信じて下さい!」

その日、マデリンはグラントの夫に連れられて保育園に登園。だがしばらく経って、保育園の職員からグラントに、マデリンの手足が青くなっているとの連絡が来た。

「お迎えに行って、娘の呼吸が速いことに気がついた」とグラントはテレビ局WCNCの取材に語った。「本当に恐ろしかった。まず母として、何か悪いことが起きていると直感した。そして次に看護師として、この子は十分な酸素が吸えていないと直感した。私も夫も、娘が助かるかどうか不安で、ただそばで泣いた」

マデリンは病院に救急搬送された。脈が異常に速く、医師らはマデリンの心臓が炎症を起こしていることに気付いた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ワールド

ガザの砂地から救助隊15人の遺体回収、国連がイスラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中