イギリス上空に大火球、落下片から生命の構成元素を検出
研究者「言葉にならない」 はやぶさ並みの貴重な試料か
ロンドン自然史博物館の分析により、今回の隕石は思いがけず貴重なものであることが明らかになってきた。当該の隕石は炭素質コンドライトと呼ばれるタイプのもので、アミノ酸など有機物質を豊富に含んでいる。アミノ酸とその他の有機物は、生命の「原料」とも言える存在だ。テレグラフ紙は、「そのため、(今回の隕石は)地球上での生命誕生と私たちの太陽系の初期の歴史の謎を解き明かす上で、きわめて重要なツールとなるかもしれない」と述べ、極めて重要なサンプルだと捉えている。
専門家たちも、予想外の展開に驚きを隠さない。ロンドン自然史博物館はリリースを発表し、「この隕石は信じ難いほど希少なものです。これにより当科学館の研究者たちは、およそ46億年前に太陽系が形成されつつあった当時、太陽系がどのような姿形をしていたかを垣間見ることができるでしょう」と述べている。
世界ではこれまでに6万5000個ほどの隕石が確認されているが、炭素質コンドライトだと確認された個体はそのうち51個にとどまり、割合にして0.07%に過ぎない。さらに今回の隕石は、JAXAの「はやぶさ2」およびNASAの「オシリス・レックス」が回収対象としている試料の成分とも非常に近い。このためロンドン自然史博物館の研究者は「心が揺さぶられるくらい素晴らしいことだ」「興奮で言葉にならない」と感情豊かにコメントしている。
JAXAの解説によると、「はやぶさ2」が目指した小惑星リュウグウも、多くの炭素質コンドライトの飛来元と考えられるC型小惑星だ。2020年12月には5.4グラムの砂を持ち帰り、当初の目標の50倍の量という快挙に世界が沸いた。今回は突如として300グラム弱のサンプルが地球に飛び込んできたということになるため、科学者たちの興奮は想像に難くない。生命と太陽系の起源の謎に迫るべく、今後さらなる分析が期待される。