12年かけて撮影された天の川の圧倒的パノラマ画像が公開される
12年間かけて撮影された234枚の写真をつなぎ合わせた圧倒的な天の川(一部) PHOTO:(C) J-P METSAVAINIO
<フィンランドの天体写真家J-Pメッツァヴァイニオ氏が、12年間かけて撮影した234枚の写真をつなぎ合わせた圧倒的な天の川の写真が公開された...... >
2009年から2021年までの12年にわたり、北欧フィンランドのオウルで撮影された天の川のパノラマ画像が、2021年3月16日に公開された。
この画像は、計1250時間もの露光時間をかけて撮影された。おうし座からはくちょう座まで、約2000万個の星がきらめき、水素は緑、硫黄は赤、酸素は青というように、電離した元素によって放出された光がカラフルに映し出されている。
画像の左下には米国カリフォルニア州の形に似ていることで知られる「カリフォルニア星雲(NGC 1499)」が確認でき、右寄りの中心部には「チューリップ星雲(Sh2-101)」やブラックホール「はくちょう座X-1」もみられる。
234枚の天体写真をモザイク状につなぎ合わせた
この画像を撮影したのは、フィンランドの天体写真家J-Pメッツァヴァイニオ氏だ。メッツァヴァイニオ氏は、画像編集ソフト「フォトショップ」を使って234枚の天体写真をモザイク状につなぎ合わせ、空白部分を新たに撮影して補いながら、トーンカーブやカラーバランスなど、最小限の調整を加え、1.7ギガピクセルの高解像度画像として完成させた。
メッツァヴァイニオ氏は、この画像の完成までに12年の歳月を費やした理由について「天体写真が大きいのみならず、とても深いこと」をあげる。それぞれの天体写真には、非常に薄暗い物質やガス雲も映っていた。
また、ビジュアルアーティストとして「それぞれ個別の構図で撮影した画像をまとめ、一つのアート作品として発表したい」との思いも、完成までに時間を要した理由のひとつだ。メッツァヴァイニオ氏は、複雑な天体写真を細かくつなぎ合わせるという途方もない作業に根気強く取り組んだ。
一部の天体写真では、露光時間を長くして撮影された。たとえば、はくちょう座にあるシェル型超新星残骸(SNR)「W63」が青白い輪のように輝く様子は、約100時間かけて撮影されたものだ。超新星残骸「G65.5+5.7」の撮影にも60時間以上を費やしている。
領域ごとの画像も公開
メッツァヴァイニオ氏は、フォトグラフィー専門オンラインメディア「ペタピクセル」で「このような高解像度と深度で、天の川を赤・緑・青の三色で映し出した画像は初めてだろう」と述べている。メッツァヴァイニオ氏の公式ブログでは、このパノラマ画像のほか、領域ごとの画像なども公開されている。