大口投資家がビットコインの買い占めに走り、個人投資家には「サトシ」しか残らない?
As Institutions Gobble Up Bitcoins, Individual Investors Left with Satoshi
「インフレになってもドルのように価値が減らない「金」のような資産で、なおかつ決済にも使える人類初の通貨」になる? Dado Ruvic-REUTERS
<怪しげで投機的と思われてきたビットコインを、機関投資家や大企業が大量に買い始めたのはなぜか。ビットコイン取引の今後は?>
機関投資家や大手企業は、価格下落に乗じて仮想通貨ビットコインの買い増しを行っているようだ。彼らがビットコインの将来価値を信じている証拠だ。
大手による投資はビットコインの価格上昇や相場の安定につながる可能性がある。だがビットコインの分割所有が可能な限り、個人投資家が市場から追い出されることはないだろうと、アナリストは請け合うが......。
外国為替・仮想通貨調査会社クオンタム・エコノミクスのジェイソン・ディーンは、「ビットコインの発行上限は2100万枚と決まっているから、それが入手可能な枚数の上限になる」と、本誌に語った。
「できる限り多くのビットコインを購入・保有しようと躍起になる機関投資家が増えれば、需要と供給の法則により、1単位あたりのドル価格は必然的に吊り上がる」と彼は言う。「だがビットコインは設計上も実際にも、今後も全ての人が入手可能な仕組みになっている。平均的な個人投資家が、1ビットコイン(BTC)まるごとではなく、1BTCの1億分の1の単位である「Satoshi(サトシ)」を保有・使用していく可能性は高い」
2月21日に史上最高値の5万8356ドルを記録したビットコイン価格は、23日には4万5501ドルにまで落ち込んだ。ビットコイン価格はこのところ乱高下しているが、それでも前年同日比で約70%高い水準にあり、過去1年間で約400%高騰した。ビットコイン価格は25日の日中の取引で4万9912.46ドルまで値を戻しており、仮想通貨情報サイトのコインデスクによれば、過去24時間の最高値は5万2076.32ドルだ。
大企業が長期保有に本腰
ディーンは、大手企業や機関投資家が長期保有に出てきたことで、今後ビットコイン価格の乱高下が抑制される可能性があると言う。だがそれは(現時点では想像しにくいが)逆に言えば、大口投資家が大量のビットコインを手放せば、価格が急落する可能性があることも意味している。
だがビットコインがウォール街で受け入れられつつあることと、ビットコイン価格が高騰していることを考えると、今後一部の個人投資家がイーサリアムやXPR、ステラやカルダノなど、価格の上昇余地がより大きいオルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨の総称)の購入を検討するようになる可能性もある。
「オルトコインは一般に、投資対象としてはビットコインよりも高リスクだと考えられている。多くのプロジェクトがまだ発展の初期段階にあり、不確実なことが多いからだ」とディーンは言う。「同時に、仮想通貨の短い歴史の中で、そうしたリスクにはより大きな見返りが伴う可能性があることも証明されてきた」
「価格の高騰は多くの場合、ビットコインだけではなく仮想通貨全般への信用の高まりを意味していると解釈される」