最新記事

欧州

スペイン、カタルーニャ州議会選で独立派が過半数維持 中央政府と対話も

2021年2月15日(月)12時41分

スペインのカタルーニャ州で14日、州議会選挙(定数135)の投開票が行われ、独立派が議席を上積みして過半数を維持する見通しとなった。写真は投票所に並ぶ有権者。14日バルセロナで撮影(2021年 ロイター/Albert Gea)

スペインのカタルーニャ州で14日、州議会選挙(定数135)の投開票が行われ、独立派が議席を上積みして過半数を維持する見通しとなった。ただ、国政与党・社会労働党の州支部も議席を大幅に増やしたことから、独立運動の再燃より中央政府との対話につながる可能性が高い。

開票率99%を超えた時点で、独立派は50.9%の票を獲得し、初めて50%を上回った。これを受け、独立派の主要2政党が連立政権を維持するシナリオが最も濃厚となった。

ただ、同州がつかの間の独立を宣言した2017年のような混乱が再燃する可能性は低いとみられる。独立を巡る緊張はその後和らいでおり、今回の選挙で有権者の関心は独立よりも新型コロナウイルスに集まった。

新型コロナの感染拡大が続く中、今回の選挙では投票率が53%と、前回2017年の79%から低下したことも、独立派に有利に働いた可能性がある。

33議席を獲得する見込みとなった独立派の左派政党「カタルーニャ共和左派(ERC)」は、政権を主導する考えを表明し、独立の是非を問う国民投票の実施に向けて他党の支持を求める方針を示した。

ただ、単独政党ごとの得票率は社会労働党が23%と最も高く、獲得議席数も33議席でERCに並んでいることから、同様に連立協議を模索するとみられる。社会労働党は17議席にとどまった17年の前回選挙から議席をほぼ倍に増やした。

最近までスペインの新型コロナ対応を主導し、社会労働党から立候補したイジャ前保健相は、長年にわたる独立の動きを受けてカタルーニャでは和解を求める声が高まっているとし、議会で過半数を模索する考えを示した。

ただ、それには他党との連携が必要になるが、実現の見込みは不透明だ。

独立派では中道右派「共にカタルーニャのために」が32議席、極左のCUPが9議席をそれぞれ獲得する見通し。独立派の連立維持には両党が鍵を握るとみられている。

極右政党ボックス(VOX)は、保守系の国民党(PP)や中道右派のシウダダノスより多い11議席を獲得し、カタルーニャ州議会で初めて議席を得る見通し。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中