最新記事

SNS

中国で「Clubhouse」利用急増、ウイグルから台湾独立まで「ルーム」盛り上がる 現状は無検閲

2021年2月8日(月)17時29分

中国本土で、米国発の音声会員制交流サイト(SNS)アプリ「クラブハウス」の新規ユーザーが続々と増えている。北京で2018年2月撮影(2021年 ロイター/Damir Sagolj)

中国本土で、米国発の音声会員制交流サイト(SNS)アプリ「クラブハウス」の新規ユーザーが続々と増えている。ユーザーは人権や国民意識やその他、機微に触れる問題を巡って会話に花を咲かせているが、今のところ中国当局は同アプリを検閲・削除していない。

ロイターは、クラブハウスで行われている中国語の会話をいくつか直接聞いてみた。話題は新疆ウイグル自治区の収容施設や台湾の独立、香港国家安全維持法など多岐にわたり、数千人のユーザーが会話に耳を傾ける。

例えば、香港の政治家、活動家、ジャーナリスト、芸術家などが集まる会話グループ「ルーム」では、トランプ前米大統領や、香港にある同氏の支持基盤について議論が行われていた。

また、6日時点では、人気の高い別の中国語ルームで、中国本土、台湾、香港の「ネット民」らが、同地域での政治的緊張の高まりについてオープンな会話を繰り広げるという珍しい展開となっていた。

会話の内容については同日、中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」上で大きな話題を集めた。「この環境がいつまで続くか分からない。でもインターネット史に残るこの瞬間を決して忘れないだろう」という投稿には6万5000件を超える「いいね」が付いた。

クラブハウスは既存メンバーに招待されなければ利用できない制度。中国の複数の人気電子商取引サイトでは、7日時点で招待枠が50―400元(7.73―69.59ドル)で売買されていた。

クラブハウスは2020年初めに米国でスタート。米電気自動車(EV)メーカー、テスラのマスク最高経営責任者(CEO)と米新興ネット証券ロビンフッドのテネフCEOが今月、同プラットフォーム上でサプライズ対談したのもユーザーの一段の急増に火を付けた。

ただ、米アップルのモバイルオペレーティングシステムiOSを使った端末でしか利用できない上、中国国内ではアップルが展開するアプリ販売サイト「アップストア」で入手不可能。この2つが同国での幅広い普及には大きな壁だ。

ただ中国本土のユーザーは、自身が使うアップストアの位置を変更することで、クラブハウスのアプリにアクセスすることが可能だ。

中国ではツイッター、フェイスブック、ユーチューブなど西側のソーシャルメディア・アプリの多くが禁止され、国内のインターネットサービスは厳しく検閲されている。クラブハウスが現状で中国で禁じられていない理由は不明。

陰謀論を宣伝する集団「Qアノン」の拠点となっている「8kun」など、中国の利用者が少数の一部海外ソーシャルメディアは、検閲を受ける状態で稼働を続けている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、予

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッカーファンに...フセイン皇太子がインスタで披露
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 5
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 6
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中