最新記事

中国共産党

ジャック・マーは中国当局に「消された」のか? 中国を逃れた不動産王の予言が話題に

Video Predicting Jack Ma Will Either Die or Go to Jail Resurfaces

2021年1月5日(火)15時30分
イワン・パーマー

ジャック・マーはどこに行った? Charles Platiau-REUTERS

<2カ月にわたって公の場に姿を現さず、ツイッターも更新していないアリババ創業者に何が起こっているのかをめぐり、憶測が飛び交っている>

中国の電子商取引大手アリババと傘下の金融会社アント・グループの創業者である馬雲(ジャック・マー)が行方不明になっている──複数のメディアがこう報じたことを受けて、ソーシャルメディア上では、米在住の中国人不動産王が「マーは殺されるか収監される」と予想した動画が拡散されている。

500億ドルを超える純資産を保有し、かつては中国の富豪ランキングのトップに君臨したマーは、ここ2カ月ほど公の場所に姿を見せていない。審査員として出演もしていた起業家育成コンテスト番組「アフリカズ・ビジネス・ヒーローズ」も、11月に行われた最終回の収録には参加せず、代わりにアリババ幹部の彭蕾(ルーシー・ペン)が代役を務めた。

英フィナンシャル・タイムズ紙は、マーの番組降板は「スケジュールの調整がつかなかったため」と報道したが、同番組の最終回に出演したある起業家は、「中国ではジャック・マーの周辺で何かが起きているようで、代わりの人物(ペン)が出演した」と述べた。

金融規制の批判が原因か

マーが「行方不明」になっていることには、彼が2020年10月に上海での演説で、中国の金融規制当局を「老人クラブ」と批判したことが関係しているのではないかと言われている。彼は上海の会合で、「現在の金融システムは産業化時代の遺物だ」と批判。「私たちは次の世代と若い人々のために、新しいシステムをつくらなければならない。現在のシステムの改革をすべきだ」と主張した。

そこで改めて注目されツイッター上で拡散されているのが、2019年9月に収録されたあるインタビュー動画だ。インタビューを受けているのは、中国指導部の汚職疑惑を暴露し、2014年に国外逃亡した不動産王の郭文貴。金融メディア「リアル・ビジョン」のインタビューで2019年9月にアリババの会長を退いたジャック・マーの今後について聞かれた郭は、「道は2つしかない」と指摘している。「中国の大富豪の末路は、収監か死。そのいずれかだ」と語った。インタビューを行ったカイル・バスはこう聞き返した。「つまりマーは刑務所に行くか、殺されるかだ、ということですね」

郭はさらに、アリババ傘下の民間金融会社アント・フィナンシャル(現在はアント・グループ)が中国政府にとって「大きな問題」を引き起こしていると指摘した。同社は中国の銀行制度に打撃をもたらしており、中国政府としてはアントを「なくしたい」のだと述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物5週間ぶり高値、トランプ氏のロシア・イラン

ビジネス

トランプ関税で目先景気後退入り想定せず=IMF専務

ビジネス

トランプ関税、国内企業に痛手なら再生支援の必要も=

ビジネス

現代自、米ディーラーに値上げの可能性を通告 トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中