最新記事

インターネット

ウィキペディア誕生から20年、今や「もっとも信頼できる」サイトに?

2021年1月21日(木)16時35分
安部かすみ

ワシントンポストによると、近年ウィキペディアは正確な情報を発信するためのルールがさらに増している。記事には情報源や参考文献などがつけられ、新たな編集者が情報を変更するのに制限を設けるため、ページを保護およびロックする機能を搭載。編集者は内容のクレームに対して情報源を要求でき、虚偽情報を排除できる設定になっている。また頻繁に誤った編集を行う者は使用禁止の対象となる、などだ。

また1トピックにつき重複ページがある場合は削除され、1ページ完結で説明が終わるので、ソーシャルメディアと比べて、フェイクニュースが拡散、炎上しにくい設定になっているという。11月の大統領選挙結果に関しても、何千もの誤解を招く記事がフェイスブックで出回ったとされるが、ウィキペディア上の記事は1つだけだった。

この結果、近年GAFAなどビッグテック企業ではウィキペディアを「ファクトチェック」用として活用するようにもなった。2018年より米フェイスブックやユーチューブは、ウィキペディアの関連記事のリンクを提案することで、それぞれのプラットフォームで炎上し蔓延しているフェイクニュースの正誤の判断ができやすいようにしている。

どのプラットフォームでもつきまとうフェイクニュース問題

一方で、インターネット上の虚偽情報、でっち上げ、フェイクニュースは、何もウィキペディアに限ったことではない。ソーシャルメディアの情報からウェブニュースに至るまで、どのプラットフォームでもつきまとう問題だ。

それらの問題に対して、ビッグテック各社は近年、さまざまな防止策を取り始めている。例えばフェイスブックは、フェイクニュースの拡散を阻止するため、モデレーター(問題のあるコンテンツを検閲し削除か否かの判断をする担当者)を現在1万5000人ほど導入している。またカスタム人工知能システムを構築したことで、ヘイトスピーチの94%以上を検出、削除することにも成功した。最近でも大統領就任式に向け、トランプ支持者が主張している不正選挙について、支持者同士の合言葉「StoptheSteal」(票を盗むのを止めろ)をフェイスブックのプラットフォームからいっせいに削除するなどした。

また、つい最近も、アメリカの一部のエリアでワクチンが一般の人々も接種できるというフェイクニュースがソーシャルメディア上で瞬く間に拡散された問題をワシントンポストが報じたばかり。現場には、長蛇の列ができ大混乱が生じた。しかし実際には64歳以下の接種は例外を除いて認められておらず、高齢者なども事前予約が必要だった。

ウィキペディアに限らず、あらゆるメディアやソーシャルメディア上では、受け手側である個人のリテラシーがこれまで以上に求められていると言えるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中