アメリカ大麻業界の「ハイ」続くか コロナと合法化で急成長
米国における大麻の販売額は感謝祭の週末、過去最高の水準に達した。写真は3月、米カリフォルニア州サンフランシスコの大麻取り扱い店に行列する市民(2020年 ロイター/Stephen Lam)
米国における大麻の販売額は感謝祭の週末、過去最高の水準に達した。業界内では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)による不安感と合法化へのトレンドが重なったことで、需要の恒常的な拡大が始まったのではないかとの見方が生まれている。
ここ数年、公式の販売統計が伸び悩んでいた大麻だが、3月上旬と4月には購入が急増した。ロックダウン(都市封鎖)が始まった時期で、供給途絶を懸念したユーザーが買い溜めに走ったためである。
こうしたパンデミック初期の販売急増はいずれ落ち着くとの見方が大勢だったが、月間の販売額は過去最高を更新し続けている。
大麻に関する代表的なデータ収集・調査会社の1つであるアケルナによれば、感謝祭の週末を控えた、いわゆる「グリーン・ウェンズデイ」の販売額は、今年の1日当たりの平均を80%上回り過去最高を記録した。
アケルナが米国内の19州にわたる提携調剤薬局から集めたデータに基づき、市場全体の予測として調整を加えて試算したところ、感謝祭の週末にかけての大麻の販売額は、昨年比14%増となる総額約2億3800万ドル(約247億9千万円)になったと見られる。
今年の大半を通じ、大麻の需要に拍車をかけたのはパンデミック(世界的な大流行)だ。「ステイホーム」を余儀なくされ、娯楽の選択肢も限られたことで、人々のストレスが高まったためである。
調査会社ニューフロンティアデータが来週発表する予定の報告書の見本版によれば、全体として大麻使用者の10人に4人が消費を増やし、また半数以上がメンタルヘルスの改善のために大麻を使用したと答えている。
好機は到来したのか
コロナワクチンにより通常の生活がある程度戻ってくるとしても、業界関係者らによれば、他の多くのセクターと同様に、大麻産業にとっても2020年は画期的な年になる可能性が高いという。
「都市封鎖は、まさに大麻に関連する多くのステークホルダーにとって、人生観が一変するような好機となった」と語るのは、大麻産業に強いコンサルタント会社シバ・エンタープライジスのエイビス・バルバルヤン最高経営責任者(CEO)。「大麻に対する消費者の許容度は急激に上昇した」
結果として、事業者はプランを上方修正し、未成熟な産業にほとんど興味を示していなかったメインストリームの投資家も集まってきた。
各州の規制当局がロックダウン期間中、大麻販売事業者を「必要不可欠な(エッセンシャル)ビジネス」に指定。また11月3日に米大統領選や連邦議会選などと同時に5つの州で行われた住民投票では、大麻は嗜好用・医療用の合法化が認められた。これにより大麻の合法性はさらに高まった。
35州では制限を設けつつも医療用大麻の使用を認めており、15州及びコロンビア特別区では嗜好品としての大麻の利用も合法化されている。